第2章
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勝手に苦悶し、一層口角を下げ、口元の黒子を弄った。
「斎藤さん、助けて…、判んない…、嫌い、スマートフォン嫌い…、全然云う事聞かない…、まるで長谷川さんみたい…」
「は?なんて?」
「ハイハイ。」
電話を渡された丸眼鏡…斎藤と云うらしい…は画面をちょいちょい弄り、あっさりSDカードを本体から取り出した。
「ガラケー卒業しよ?橘さん。貴方、此の中で一番機械使うでしょ?慣れて、な?」
物理担当…橘は此れでもかと眉を落とし、だって判んない…、と斎藤を見上げた。
一八〇センチは超えて居るであろう斎藤を見上げる橘は、何処から如何見ても女だった。
斎藤の指先にあるSDカードを秀一は取り、和臣の小さな頭を撫でた。
「機転が良いね、和臣。分析しちゃうよ。」
「頼む。」
秀一が記憶する限り、和臣の頭回転の速さは良かった。秀一の利発さが証明されるのは記憶力で回転の速さでは無い。和臣は、記憶力こそ並だが、回転の速さが、通常が八十であるとしたら百程の速さで回る。
素早い回転と洞察力、此れが和臣の武器であるが、此の和臣依り素早い回転を見せるのが相棒の加納。
加納は桁外れの秀才で、其のIQは145と、凡人には理解不能の領域に達して居る。
IQ指数が120超えると人は天才と呼ばれる。和臣は其の少し手前の118、加納の叩き出した数値に驚いた。此れ程の頭脳、アメリカ最高位に値する大学を難無く出た訳である。
頭脳と肩書きを見て全く釣り合わない今の現状の加納は、和臣には気味悪く映る。あれだけの秀才、アメリカに其の侭居た方が本人の為にも世の為にも良かったのでは無いかと思うのだが、天才の考え等凡人には凡そ理解出来ないのが常である。だから天才は天才なのだ。
大学で犯罪心理学を専攻していたのなら加納も、此処で働けば良いのに態々警察になる等変わり者だ。
休憩室に戻った和臣は、ホワイトボードに写真を貼り付ける菅原の背中を眺めた。
「菅原さんって、白衣似合いますね。」
白衣等そう珍しい物でも無いのに、菅原の白衣姿には一目置くものがある。身体の一部と云おうか、すんなり馴染んでいる。普段着に見える。白いジャケット、或いはコートを着ている様な、白衣を着てますと云われ無ければ判らない程菅原の身体に馴染んでいる。
「初めて云われたわ。」
「他の人達は白衣って判るんですけど、菅原さんはなんか、身体の一部、って感じです。」
「まあなあ、二十年以上着とけばなぁ。着てない時間の方が短いからなぁ。」
「先生は、元が解剖医なのでしょうか?」
「いや?俺は外科医。此処来る迄京大居った。橘も京大や、放射線科医。」
「へえ、凄い。」
「で、俺は外科医やし、放射線…レントゲンと麻酔科医とは切っても切られんのなぁ。此処受けたら受かってしまったもんやから橘怒ってなぁ。
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