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歪んだ愛
第1章
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で…?出たのか?夏樹冬馬は…」
「ワンコールらしくて、折り返した時にはもう繋がらなかったって。」
「済まないが、夏樹冬馬を此処に呼び出せるか?」
「向かってると思いますけど。来るって云ってましたから。」
タイミング良く、ゆりかの電話が鳴った。
「あ、夏樹?着いた?開いてるから上がって来て良いよ、うん、まどかの部屋。」
犯人の意図が判った和臣達は其の気持悪さに顰めた顔を見合わせた。
夏樹は何度も来ているのか、すんなり和臣達の前に現れた。
写真で見るより爽やかな印象があった。平日の、然もこんな二時という半端な時間に来ると云ったから、どんな暇人なのかと思ったが、夏樹はグレイのスーツ姿と、至って普通だった。
「ゆりか。」
「夏樹。」
「一応全部持って来た。」
肩に掛かるバッグをゆりかに渡し、夏樹は和臣に向いた。
「夏樹冬馬です、遅くなりました。」
内ポケットから名刺を取り出した夏樹は和臣に渡し、半端な時間に出歩ける理由が判った。名前の上には法律事務所の名前が書いてある。適当に理由を付けて出て来たのだろう。名刺を加納に渡し、和臣は警察手帳を取り出した。
「世谷署の木島です。弁護士さん?」
「そうです。」
和臣達から受け取った名刺を見る目は凛とし、本郷みたいだな、と和臣は思った。
顔全体を見たら薄い顔付きだが、目元に色気があった。甘い顔、と云うのはこういう顔を指すのだなと思う。此の目で罪を聞かれたらすんなり認めてしまいそうだ。
同じに罪人を見る立場なのに、自分達とは違う。警察は狩りをする目で、弁護士は其れから守る目をする。対局に居る夏樹を和臣は見た。
「あ、そうだ刑事さん。」
「ん?」
「家の前にバイク置いてるんですが、切らないで下さいね?切符…」
夏樹の申し出に和臣は首を傾げたが、加納は理解した様に頷く。
路上駐車禁止区域なのだ、此処は。
「大丈夫です。」
「嗚呼、そういう事か。安心しろ、路上駐車の取り締まりは交通課の仕事で、あんな点数稼ぎの仕事は知らん。なんか云われたら俺が弁護してやる。あのバイクは俺のだ、って交通課に云ってやる、俺、バイクの免許無いけど。」
「頼もしいですね、有難う御座います。」
「路上駐車に無免許とは最悪ですね。」
「良いんだよ、そんな交通課の仕事なんて。何してるのか判らんのに。北欧の市長みたく戦車で破壊してる訳でも無しに。」
夏樹は其れに笑い、さて、と息を吐いた。ベッドに座り、開いた侭のクローゼットを指す。
「嗚呼、写真撮ったんだ。」
「こんな汚いクローゼットを?」
「東条まどかはずぼらなのか?」
「まあねぇ、綺麗好きとは云えないかな…」
此の呆れ顔を見る限り、夏樹の家でも散らかし放題なのだろう。夏樹の心中を嫌という程察した和臣は肩を叩き、泣きそうな顔で頷いてみせた。
「判
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