第1章
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顔を見せた母親…其れが和臣を悩ませた。
「家具、そして配置迄も真似る…。宗一、東条まどかはかなり依存性が高い。」
「でもな、菅原さん、ええと、心理の方。」
「時一で良いです。」
「時一さん、俺の目から見て劣等生はゆりかだったぞ。」
「と、仰いますと。」
「ゆりかの方がまどかを羨望して居た。様に思う…」
「いいえ、此れははっきり判ります、東条まどかの方が、極めて高い依存傾向にあります。」
何故?
聞いた和臣に時一は、和臣の手帳を指差した。
「夏樹冬馬、彼が、東条まどかのキーパーソンです。ゆりかさんと比べられて居たまどかさんは、此の夏樹冬馬と言う男に依って、人格を認められた可能性が高いです。先程菅原先生が仰った様に、一卵性と言っても別物です。顔も違ければ、性格も違う…。凶悪と云われる犯罪者のDNAは一緒か…?違いますよね?似るのは育った環境と、其れに依って形成された思考と人格。染色体が決めるんじゃありません、環境です、環境が人格に影響を与える。夏樹冬馬は、其れをまどかさんに教えた、君はゆりかでは無い、もっと素晴らしい女性だと。もっと詳しく調べて下さい、東条まどかと、夏樹冬馬を。まどかさんは随分と化粧が濃いんですよね?僕の予想です、夏樹冬馬に出会った時期から其れが始まったと思います。変貌が始まった時期と、夏樹冬馬の女性の趣味です。此処迄依存性の高い方ですから、夏樹冬馬の趣味が如実に再現されて居ると思います。後身丈に合わないブランド嗜好、此れも自信の無さが関係します。ハイブランドと呼ばれる其れを身に付ける事に依って、自我を保って居ます。」
珈琲を飲む事も忘れ、和臣は呆気に取られた。思い出した様に珈琲を飲むと、湯気立っていた其れは生温く、芳香依りも苦味を主張した。
指に挟まる煙草、此れが本物の煙草なら吸われる事なくフィルター迄しっかり焼けていただろう。
パン、パン、パン。
菅原の乾いた拍手が休憩室にゆっくりと響いた。
「御見事だ、菅原君。其れでこそ私の助手。」
「差し出がましい真似を…、然し恐縮です、先生。」
一礼した時一に満足見せた菅原は和臣に向き、其の、老いと青い血管と骨が浮く手で顔の半分を隠した。
「捜査権は、木島はん、あんた等に移すわ。」
「え…?」
「本庁、いうてもな、こっちが分析せぇへんいうたら、案外大人しゅうなるもんなんよ。」
にやりと、菅原の口角が上がった。
「僕達は、警視庁勤務ではありますが鑑識と違い、一般業務なんですよ。当然、警察官ではありません。警察が、一般人の有能な知識を拝借、って感じです。」
「自分等が手に負えへんモンをこっちに回してるんや、職務怠慢言うて解雇するならしな。鑑識と違ぅて俺等は本職があるんやわ。」
「僕は私立医大の籍がありますし、菅原先生にも御座います。」
「首になった所で痛くも
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