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歪んだ愛
第1章
―6―
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らして居る。机にあるパソコンと手に持つタブレットを操り、誰が頼んだこんな写真、鮮明解析した画像送れぇ言うたやろが、此のクズ、はあ?其れ御前の仕事ちゃうんか、何の為の解析医や、死ねや、と口が悪い。
其の横、顔のパーツ全てが垂れ下がる女なのか男なのか判らない人物。眉も目も垂れ、口角迄下がる、何がそんなに悲しいの?と聞きたい。見てる和臣の眉迄下がってしまう。大人しく、世界一有名であろう物理の法則を用いる玩具…ニュートンボールと呼ばれる其の球の動きを、無表情で眺める。
そして其の後ろの席、女顔だが男なのははっきりする、ヘッドホンを付けた男がマリリンマンソンをノリノリで歌っている。何の為にヘッドホンを付けて居るのか判らない。
「煩いねん!こっち電話してんのよ!」
丸眼鏡の男がヘッドホンを奪い取り、床に叩き付けた。大きな目がかっと見開かれ、インカムを奪うと同じに床に叩き付けた。
「黙れ丸眼鏡!僕に指図して良いのは宗一だけだ!」
「先生ぇ!何とか言うたって下さいよ!朝からずっと歌いよるんですわ!」
二人の喚きに資料から目を離した菅原はうんざりと白目向き、ばん、と足でドアーを閉めた。ついで、邪魔で仕様が無い秀一も追い出した。秀一は何故追い出されたのか判らず、暫くドアーの前で威嚇をして居たが、菅原に相手にされないと判り大人しく自分の椅子に座った。
「木島さん。」
「はい、何でしょう。」
奇人の観察をして居た和臣は背筋伸ばし菅原に向いた。あの猛獣に近い秀一を一瞬で黙らせたので、只者では無いと本能が教えた。
四十代後半だが実年齢より十は老けて見える菅原、垂れた目尻に刻まれる皺には老いよりも貫禄が勝り、此の研究所の主任であり奇人達を纏めるには相応しい顔付きである。面長の馬面…間延びした顔と云えば其れ迄だが、けれど悪くは無い。四十代後半で若々しさを保たれても怖い。
「東条まどか、双子か。」
丸眼鏡と似たイントネーション、だが全く違う。
「はい、東条ゆりかと云い…」
「嗚呼、そんな書いてある情報はよぅ要らん。無い情報寄越し。」
菅原が自らの目で見、書いた解剖記録書にペンを立てる。
「無い、情報…?」
「そ。書いてあるモン聞いても意味無いわな、なんで俺があんさん呼び出したか。其の吊り上がった愛らしい猫目で見て、感じた事聞きたいからやないか。」
正反対の目が和臣を捉え、上着の内ポケットから煙草を取り出した。
「御免、此処、精密な分析せなあかん場所やから禁煙なんやけど。」
「安心して下さい、此れ、電子煙草です。唯の蒸気です。」
「ならええけど。」
最近は、何処も彼処も禁煙で、其れが悪いとは云わない。今迄が横暴過ぎたのだ。だからと云って今更辞める意思も根性も無い和臣は、吸えない場所ではこうした擬似喫煙器具を用いった。其れでも「不愉快だ」「非常識だ」
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