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歪んだ愛
第1章
―3―
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―其れは、無駄話をして居た、という事でしょうか。
――此処はこうするんですか?とか、此の計算で合ってますか?とか、私判んないんですぅ、ってアレよ。ねぇねぇ、所轄刑事でも試験で本庁に移動したりするんでしょ?私、ミステリー大好きだから刑事がどんなに大変か判ってるの。キャリア組の人達の給料って。
――詰まり勤務態度は真面目なんですね。女子社員との関係は如何です?
――学生のノリよ、何時迄大学生気取りなのかしら、だから仕事も満足に出来ないのよ。ねぇ刑事さん達はどんな女がタイプなの?
――友人は多かった、と。宮崎あおいと吉永小百合です。
――黒木メイサとミーガン・フォックス。
――ふぅん。

遠回しに御前みたいな勘違いハイミスドドリアでは無いと云ったのが効いたのか、仕事があるから、と巨体揺らし去って行った。
アレで良い女気取りなのだから救えない。アレは一種の罪ではなかろうか、そう思う。他人を不愉快にしただけで逮捕出来る法律が出来ないものか、そしたら真っ先に貴様を逮捕してやるのに。
「もうさ、俺達が勝手に、勘違いハイミスを検挙して、不愉快罪とかで刑務所に入れ様ぜ…」
謙虚に生きれば此方も優しくするもの、ルックス平均以下の売れ残りに限ってでかいツラをする。其の性格の結果独り身なんだろう、何故結婚出来ないのか、鏡とカウンセラーに聞いてみたら良い。
「…俺、見てみたい。今度から御前達が自宅に行け。」
「おい龍太、此処に仏が居るぜ。」
「有難う御座います、有難う御座います!矢張り持つべきは先輩、木島さんですね!」
何時もは嫌いな先輩だが、一気に好きになった。帰る頃には又嫌いになるだろうが。
加納は一人押し黙り、黙々と書類を纏める。
彼は学生時代から誰かと馴れ合い、会話をする事が無い。話題を振られたら返事はするが、自ら話し掛けたりはしない。必要最低限の関係だけを求め、浅く狭く、を信条とした。縦列関係を基本とする警視庁では良かっただろうが、此処の様に先輩後輩余り関係無く一つの輪として動く場所には異様に映る。
加納は根からの官僚気質なのだ。
「加納も見たいよな、ドドリア。」
「ふふ。」
「よしよし、明日行こうな。御前、フリーザ様っぽいけど。」
頭に知った暖かさ。和臣の大きな手にキーボードを叩く手が止まった。
「此奴オタクなんだよ。」
「違います。」
「マジで、何オタよ。」
椅子の背凭れを抱え、井上は煙を吐いた。其れを見た和臣と本郷も煙草を咥え、加納は木島にだけ火を点けた。
「超合金ロボ、だろう?」
薄い唇の間から細い煙を出す和臣はニヤニヤと口角上げ、楽しそうに窄まる目を加納は上目で睨んだ。


*****


「遺体発見場所からルミノール反応が出なかったって、如何思う。」
東条まどかの遺体発見場所からルミノール反応
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