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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十一話 クーデター
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あの陰険ジジイのリヒテンラーデ公は死んでも構わないけど。あいつが余計な事をしなけりゃ俺達は反逆者にならずに済んだんだ、あのクソジジイ。
「しかしなあ、ゲルラッハ子爵がクーデターの首謀者って最初に聞いた時は何の冗談だって思ったわ」
「同感、子爵はリヒテンラーデ公の一の子分だ。それがリヒテンラーデ公とその一門を皆殺しとか、いやあ権力争いって凄いわ。俺は平民で良かったよ」
「同感だよ」
お互いしみじみとした口調になっていた。
俺達だけじゃない、皆が言っている。貴族って稼業も楽じゃないって。考えてみればカストロプ公爵家もクロプシュトック侯爵家も滅亡した。ブラウンシュバイク公爵家、リッテンハイム侯爵家は反逆者だ。この内乱で敗ければ滅亡だろう。自分だけじゃない、家族、親族まで巻き込む事も有る。そう考えると結構厳しい世界だ。
「あれ、本当かな。如何思う、ローラント」
「あれってあれか? 多分本当なんだろう。あの映像ってここで録った奴だろう?」
「そうだろうなあ」
クーデターを起こしたゲルラッハ子爵が或る映像を流した。
先帝陛下暗殺、犯人はグリューネワルト伯爵夫人。まあ裏にローエングラム侯が居るのは自明の理だな。そしてリヒテンラーデ公は隠蔽に加担。二人で帝国の実権を握ろうとしたって事だ。その後はローエングラム侯とリヒテンラーデ公で最後の決戦だ。ホント貴族なんて碌なもんじゃない。そうか、ローエングラム侯も厳しいな。姉が弑逆者、この内乱で敗ければただじゃすまない。勝ち続けるしかないんだ。
ゲルラッハ子爵はリヒテンラーデ公に付いていけないと思ったのかもしれない。このままじゃ自分も弑逆の協力者になってしまうと思ったのか。それとも政府軍は旗色が悪いからこの辺でリヒテンラーデ公達と手を切らないと家が没落すると思ったのか。映像を公表したのは自分達の正当性を訴えたかったんだろうな、裏切ったんじゃないって。気持ちは分かるが少々姑息だよ。それだけ生きるのに必死って事かな。
「ローラント、ゲルラッハ子爵が貴族連合軍に接触して来たって本当かな」
「本当だと思うよ。多分ローエングラム侯を反逆者、弑逆者にするつもりだったんだと思う。こっちには陛下が居るから勅令として宣言して貰おうと思ったんじゃないか」
「政府軍がいきなり反乱軍か、吃驚だな」
ラムザウアーが呆れた様な声を出した。まあ俺だって呆れている。この内乱、誰が正義で誰が悪なのか、コロコロ変わるからさっぱり分からない。大体なんで俺達反乱軍が皇帝を擁しているんだ?
「何を話している? 仕事に集中しろ」
ぎょっとして顔を上げるとフェルナー少将だった。拙いな、少し話に熱中し過ぎたか。
「済みません。その、敵がレンテンベルク要塞を放棄したって事が信じられなくて。……クーデターの事も有ります
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