特別編
第氷話
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りって」
そう言いながら隣あって座る俺達の周りには、大量の景品が置いてある。
射的の後、様々な屋台で遊び倒して景品を乱獲したてから、次に食べ物系の屋台を回って食べたい物を買い、座れるところで落ちついて食べることにしたのだ。
現在、氷柱は綿あめを、俺はタコ焼きを食べている。
「ん・・・綿あめ、おいしい」
「昔から好きだよな、綿あめ」
「・・・兄貴にあの家から連れ出されて、初めて食べさせてくれたものだから、これ」
「そういや、そうだったっけか」
娘に性的虐待をしている家があると知り、その娘に魔術の才能があるかもしれないと知った時。俺は頭に血が上ってその家に乗り込んで、氷柱以外を皆殺しにした。我ながら、ガキがなんてことをしてるんだと思うけど、後悔はない。その事実も父さんから正史編纂委員会に依頼して色々と隠蔽してもらったし、あの時そうしたからこそ、今氷柱と家族でいられるんだから。
そして、俺は裸で座り込んでいた氷柱の目立つところについている血を落として、汚れていない服を着せて、自分自身も帰り血を隠せるよう魔術で着替えてから、氷柱を連れだした。
「あんな状況だったのに何の抵抗もしないから、なんか変だなって思ったんだよな・・・」
「仕方ないじゃない。あの時の私は、誰にでも従うしかないって思ってたんだから」
そう、なんで何の抵抗もしないのかと聞いたら、氷柱はそう言った。そして、その姿はひどく昔の俺に重なったんだ。
自分は誰にも愛してもらえない。
優しさを向けてもらえない。
ただただ、他の人に従い続けるしかない。
だから、俺は幼いながらにどうしたらいいのかを考えて・・・子供らしく、美味しいものでも食べてもらおうって。少し行ったところでやっていたお祭りの会場まで行って、綿あめを買って渡した。
焦点が定まっているのかも怪しい目で俺と綿あめを行き来していたので、とりあえず座れる場所に移動して、それで・・・
「兄貴ったら、ただ何も言わずに頭なでてくるんだもん。最初は何がしたいのか全く分からなかったわよ」
「ガキに慰めの言葉とか、説得とかを求めないでくれよ。少なくとも俺は、ボキャブラリーが豊富じゃなかったし」
「さすがに、あの年の子供にそこまでは求めないわよ。それに・・・結果としては、十分伝わったし」
正直、あの時は伝わったのかもかなり不安だった。撫でられてることに驚いて目を見開いたと思ったら、瞳に涙がたまり始めて、それが限界を迎えてこぼれて、そのまま涙をふきもしないで綿あめを食べだして・・・綿あめを食べ終えてからは俺の胸で泣いて、とかなり長い時間泣かれてたからなぁ。あの年の子供にはだいぶ困る状況だったと思う。
「だから、私は綿あめが好きだし、兄貴にも感謝してるし・・・兄貴のこ
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