特別編
第氷話
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会話がなかったけど・・・まあ、さすがに多少は慣れてくるわけで。
「そう言えば、兄貴も浴衣なのね。家を出るときは私服だったって聞いてたんだけど?」
「ああ、これはレンタルしたんだよ。驚かせてやろうと思ってやったんだけど・・・まさか、氷柱も持ってるのとは違うのを着てくるとは思わなかった」
一応、俺も氷柱も・・・というか、家族みんな自分の浴衣を持っている。夏休みにやるお祭りなんかにはそれを着てみんなで行くのが毎年のことだ。初詣なんかも、それを着て行くな。
「これは・・・ちょうどいい機会だから、新しいのを買ったのよ。ちょっと小さくなってたし」
「なるほどね。似合ってるぞ」
「はいはい、ありがとうございます。・・・胸が小さいと、浴衣が似合うのよねぇ・・・」
軽く自虐に走られた。事実そうなのかもしれないけど、わざわざ自虐に走らなくてもいいのに・・・さて、どうしようか。
これ以上そこに関わることを言えば、氷柱が怒るのは目に見えてる。だから、『胸の大きさは気にしなくていい』というような内容に持っていくのはアウト。こうして自虐るのは氷柱なりのこれ以上そこを責めないでほしいという合図でもある。
・・・どうしよう・・・
「あにきも、そのゆかたにあってるじゃない」
氷柱が自分からそらしてくれた。なんか口調もおかしくなってるけど、ここはありがたく乗らせてもらおう。
「・・・そうか?」
「ええ。個人的な意見だけど、今持ってるのよりもいいと思う。冗談とかじゃなく」
「そこまでなのか・・・今度変える時はこんな感じのやつを買おうかな」
今着ている物を見ながら、そうもらす。個人的にも好きなデザインだったので、似合っているのなら今度はこんな感じのものを買おう。
そう決めていたらようやく屋台が目に入ったようで、
「あ・・・あのぬいぐるみ・・・」
「ん?欲しいのか?」
「そ、それは・・・」
また無意識のうちに漏らしていたようで、氷柱は赤くなった顔であわあわした後・・・コクン、と頷いて見せた。
射的か・・・
「・・・ちなみに、遠距離武器の経験は?」
「和弓なら、一応。・・・銃はないわね。兄貴、取って」
「別にいいけど・・・ハァ、取れなくても文句言うなよ?」
前もってそう言ってから、おじさんにお金を払ってコルクの弾を受け取る。それを力を入れすぎないよう気を付けて詰めながら、どうするか考えていた。
まず、魔術や権能を使うのはとりあえずなしの方向で行きたい。そんな方法で取っても意味ないし。例外はあるけど。
「兄ちゃん、デートかい?」
「はい?・・・ええ、そうです」
と、そんなことを考えていたら屋台のおじさんに声をかけられた。隣に氷柱がいることからそう判断したんだろう。とは
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