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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 夜霧のラプソディ  2022/11
10話 出立の兆し
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に入れておいて然るべきだろう。


「だろーナ。とりあえずは街に近い地点を経由シテ、往還階段を目指しつつ、さらに奥地を捜索という形にしたいんダ。他に意見はあるカナ?」
「いや、俺から言う事はとくにない。それで行こう」


 様子見としては十分だろう。悪く言えば、このくらいしか出来ることはない。そればかりか、存在自体が眉唾であるという点も忘れてはならない。砂漠の中から一粒の砂を見つけるという例えがあるが、この件は、その砂粒さえ存在するか危ういのだ。熱が入り過ぎないように自制しつつ行動することとしよう。


「で、ここからが肝心なところなんだケド、リンちゃんは持ってるんだろウ?《隠蔽》スキルをサ」
「ある」


 指摘の通り、俺は《隠蔽》スキルを取得している。理由としては、第一層のボス《イルファング・ザ・コボルドロード》との戦闘で発覚した《ベータ時代の情報との食い違い》に端を発している。あのボス戦で見られた変更点は、果たしてフロアボスのみに当てはまるのかという疑念を残したのだ。
 もし仮に、隠しダンジョン内のモンスターの配置や種類、装備といった要素が変更されていれば、ダンジョン攻略に際しての準備が無駄になるか、最悪の場合は裏目に出てしまうことさえ考えられる。そのため、第二層の隠しダンジョンからは単独による下見と、ダンジョンに進入してからの先行偵察を心掛けている。その際に無用な戦闘を避けるべく採用したのが《隠蔽》スキルである。
 そして、《隠蔽》スキルは隠密状態(ステルス)を継続させることで熟練度を得られ、さらに付け加えると、出現するモンスターの平均レベルが高いダンジョンやエリアで《隠蔽》スキルを使用した方が獲得できる熟練度がより上昇する傾向にある。

 第二層において、攻略した隠しダンジョンは《果海の離宮(オーケアノース)》のみであるが、出現するモンスターの平均レベルは八、三十二階層に及ぶ地下迷宮を一往復半もの間《隠密》スキルを使用すれば否が応にも熟練度は上昇するというものだ。当然、それ以外でも積極的にスキルを使用しているが、ダンジョン内でのリファレンスに無数に紛れ込む熟練度獲得のメッセージは、厨二剣士から厨二忍者へとジョブチェンジする兆しかと思われるほどだった。


「熟練度はどうダイ?」
「160くらいだったな。《派生機能(Mod)》は《隠れ率(ハイド・レート)上昇》と《無音動作(サイレントムーブ)》、補助的に《隠密技能継続時間延長》を取った」


 実際のところ、現状で《隠蔽》スキルの熟練度は現状ではトップクラスの部類だ。アルゴは更にその上を行っていそうだが、これでも付け焼刃でありながらも練習場所の質が良かったこともあって、成長性という面では光るものがあると自負している。
 さらに《|派生機能
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