三十一話:俺の願いは一つ
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言い終わって、後はじっと黒歌を見つめる。黒歌の瞳にジワリと涙が溜まっていき、直ぐに溢れ出て来る。俺はその涙を優しく指で拭ってあげる。君の為なら何も惜しい物は無い、
俺の全てを使って君を幸せにしてあげたい。それが俺の幸せだから。
「……私なんかでいいの?」
「今ここに居る君じゃないとダメなんだ」
見た目も、心も、全く同じ君が居たとしても俺が愛しているのは今ここに居る君だけなんだ。
俺は君しか愛さないし、愛せない。だから、そんな事を言わないでくれよ。
俺はそんな気持ちを込めて黒歌を強く抱き寄せる。甘い香りと女性特有の柔らかさが伝わって来る。この温もりを守りたい……例え、どんな犠牲を払う事になったとしても。
「……嬉しい、凄く嬉しいにゃ…っ! 大好き、私もルドガーの事が大好きにゃ!」
「俺も大好きだよ、黒歌……愛している」
お互いが見つめあい、愛の言葉をささやき合い、自然と顔が近くなっていく。
そして俺達の距離がゼロになるのにはそう時間がかからなかった。
お互いの存在を確かめ合うように、深く、長い、口づけを交わす。
そしてどれ程、経ったかも分からないほど後に名残を惜しむように離れていく。
少し恥ずかしそうに目を背ける俺と黒歌。しかし、直ぐに顔を見合して笑い始める。
「これからは恋人としてよろしくにゃ、ルドガー」
「ああ、こっちこそ、よろしくな、黒歌」
そう、はにかむ様に言って、俺達は再び口づけを交わすのだった。
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