第百九十三話 三文芝居
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
敵がウヨウヨ居るんだ』
『駐留艦隊を呼べ。幾ら何でもラプンツェルだけじゃ!』
『冗談じゃないぞ!死にに行く訳じゃ無いんだ!護衛艦を廻せ、旧型でも構わん!』
『殿下、如何為さいますか?』
『妾の脱出の為に30分時間を稼ぐのじゃ』
『しかし、今と成っては脱出こそ至難の業かと』
『妾が生き延びねば帝国は失われる』
その中にケスラーやテレーゼの声も混じって居るのが声紋分析で判った。
その通信に参謀達が色めきだち、攻撃と味方の救援を口々に意見具申を行い始める。更に各艦隊からも同様の意見が出されてくる。ロボス自身も目を見開いて考える。確かにその意見に同意し今攻撃すればイゼルローン要塞奪取と共に皇女を捕虜に出来るかもと言う甘美な考えが脳裏に浮かぶが、グリーンヒルが『閣下、いけませんぞ』の言葉を放つ。
しかしその言葉も、次に起こった爆発で消し飛んだ。
色めきだつ参謀達も黙るほどの大規模な爆発がメインポート付近に発生した。
その閃光は先ほどの物と比べものにならないほどの目映さであり、減光フィルターを介したスクリーンをして尚、目がチカチカする程の光度であった。
「何があった?」
ロボスの質問に参謀達も唖然としている為に答えられない。
その間30秒ほどであったが、永遠に感じられた時間が動いたのはオペレーターの報告からだった。
「閣下、決死隊がメインポートでゼッフル粒子を使い脱出寸前のラプンツェルを撃沈した模様です!」
その報告に、時間が動き出し、参謀達が更に激しく攻撃を主張する。
よくよく考えてみれば可笑しな状態と言えるのだが、人間は自分の望む行為があった場合はそれを無意識に信じるという事が有り、今回の帝国の大混乱に勝てると考えた挙げ句、司令部の殆どが甘美な夢に酔ってしまったのである。常識派のグリーンヒル総参謀長が何とかしようとするが、フォーク中佐などがロボスに意見を具申し続ける為に次第にロボスも攻撃を主張し始めてしまう。
ロボスはテキパキと参謀達に指示を出した後、全艦に放送を行う。
「同盟軍全将兵に告げる。我々は帝国に騙されていた!あの停戦の最中でもイゼルローン要塞では我が同胞が決死の覚悟で戦闘を続けて居たのである。そして先ほど我が同胞がトールハンマーと艦船メインゲートの破壊に成功した。我らの英雄を救う為に攻撃を開始する。全軍全速前進!」
同盟軍はイゼルローン要塞へと急進撃を開始した。
そして11光秒に達したと同時に、ロボスが命令を発した。
「全艦攻撃開始」
数万のビームがイゼルローン要塞へと降り注いだ。
■イゼルローン要塞 司令室
「敵が多すぎる!」
「うわー!!!」
「脱出せよ!」
「人的物的損害が甚だしく」
「来援を請う、来援を請う」
「オフレッサー閣下がトールハンマー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ