28:蛇の贈り物
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どーだ、頼んでいいか!?」
デイドはこちらに背を向け、ものすごいスピードで辺りの実験器具を片付け始めた。
「ど、どうしたのよ突然……? いや、良いことだと思うけど……あんなに嫌ってたのに、なんで手の平返したように……」
「…………昨日の戦闘からずっと、あのガキのひたむきな姿勢が見て取れたからだよ」
その手を休めず、ポツリと言う。
「オレは自分の手を汚さず楽をするヤツが大嫌いなだけだ。てっきりオレは、あのガキは、ああ言いつつも心の中では自分の事しか考えてない、調子に乗ってるただのアイドルプレイヤーかと思ってた。だが、あのガキは自分が安全マージン以下でも、俺達と並んで必死に戦っていやがった。どうやら……誤解していたのはオレの方だった。だから……すまなかった、と伝えてくれねぇか」
「……………」
わたしはその言葉に心の底から驚き、開いた口が塞がらなかった。
「……おい」
「……………」
「…………オイなんとか言えよテメェ! オレをコケにしてんのかっ!?」
「わあ、ごめんごめん。信じられないものをみていた気分でポカンとしちゃって……」
いつの間にか道具の片付けを終えていたデイドが、こちらを向いて額に血管を浮かべてわたしに怒鳴りつけていた。
「やっぱバカにしてんじゃねぇかっ!」
「だからごめんって……頼みは受けたげるから、ね?」
「チッ」
舌打ちをしてそっぽを向かれた。
「ちゃんと、このポーションも渡しとくよ。でもさ、わたしに頼まなくても、直接言えばいいのにー」
「言えるわきゃねーだろーがっ! それに、見直しはしたが、それでもオレは子供が嫌いだからな!」
「もう、声が大きいよ、デイドさん? シリカ達が起きちゃうよー?」
「っ……!? く、クソがッ……おちょくりやがって……!」
「あはははっ」
……どうやら、わたしも誤解していたようだ。
デイドは、ううん……デイドも、思ってたよりもいい人……なのかも知れない。
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