28:蛇の贈り物
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ションだった。
だが、その回復量が……わずか5ポイントだった。
あれだけ手間をかけた調合だったのに、なんとも物悲しい結果である。
「うーん……たった5ポイントぽっちじゃ、どの道いらないかな……」
「ンなことねーよ。お前が持ってるソイツは、あの腐ったレモンみてーなポーションの味を改善しようと、オレが独自に目下開発中の特製ポーションだ。まぁ、調合に失敗して回復量こそ激減しちまったが……味は問題無いはずだ。ジュース感覚で飲んでみな」
「えー……」
と言いつつも、料理スキルと味覚再現エンジンに精通する身としては興味が無いわけではなかったので、お言葉に甘えてキュポンと栓を開けて一口呷ってみる。
仮に万が一、聞いたことも無いが……もし効能の表記とは違って毒の効能が現れたとしても、ここは安全地帯なので一切の影響を受けない。例え容疑者であるデイドの物でも、ここは特別警戒せず口に含んでみる。
と……
「わ……あ、甘い……!」
「だろ?」
デイドが得意げにニヤリと笑う。
喉に流し込んだ途端、現実世界で飲んだことのあるカルピスウォーターにそっくりな爽やかな甘みが口内を包み、さらりと喉を通っていくのだ。今までのポーション特有の、どこか喉に引っかかるエグイ後味も全く感じられない、実にあっさりとした飲み心地だった。
「す、すごいじゃないデイドさん! すごく自然な口当たりでびっくりしちゃった」
「おう、あとは回復薬素材の問題だな……リーフの粉末の分量を間違えたか……? ……まあいい、肝心の味は女にも好評だった、と。こりゃ将来の大儲けに期待がかかるな、ククククッ」
「うわぁ……腹黒さ丸見えだよー……。でも、コレは完成したら、ちょっと真剣に欲しいかも……」
「じゃあ完成して店を構えたら、一番にKoBに販売してやるよ。……値段は覚悟しとけよ?」
「え、えぇー……」
「クックック」
デイドは笑いを噛み殺しながら、そのレシピと思われる洋紙にサラサラと結果を書き足しているようだった。
「そういえばデイドさん、さっき、何か言いかけたよね?」
「あ? ああ……そうだったな」
デイドは手の動きを止め、頬をポリポリと掻き始めた。
「……アスナ、テメーに頼みがある」
「ん、なにかな?」
「――……あのガキ……シリカに、あとで代わりに謝っておいてくれないか?」
「………………へ?」
今わたしは、彼の口からは出るはずが無い言葉を耳にした気がした。
「だからよっ、シリカと……あと、あのトカゲにもオレが済まなかったって言っとけって頼んでんだっ! ついでに、その特製甘味ポーションは、シリカへの詫びの分と、テメーへの頼みの報酬だ!
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