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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第2章 滅殺姫の憂鬱と焼き鳥の末路
第40話 絶体絶命
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以上あなたが傷付くことなんてないわ」

「何言ってるんですか! それに俺は約束しました! 絶対にあなたを守るって!」

『Boost!!』

「行くぜ焼き鳥野郎!」

 そう言ってイッセーは私の静止を振り切り氷輪丸を構えてかけ出した。

「うおおおおおお!!」

『Burst』

「ガハッ!」

 でも赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)から聞こえてはいけない音声がすると同時にイッセーは血を吐いて倒れこんでしまった。

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)は所有者の肉体を激しく傷めつける。駆け出しでここまでよく頑張ったが……もう終わりだ」

「まだ、だ」

 それでもイッセーは立ち上がって氷輪丸を構えてくれた。どうしてそこまで。私なんかのために……。

「無駄だ」

 でもその氷輪丸もライザーに簡単に弾き飛ばされ屋上から落ちていった。

「ま……だ……!」

 それでもイッセーはなおも拳を構えて一歩も引こうとしない。

「……ちっ」

 そんなイッセーをライザーは襟首を掴んで持ち上げた。イッセーはもう体に力も入らないのかだらんと手足を投げ出してしまっている。

「ここまで頑張ったお前に敬意を評して一撃で終わらせてやる。だからもう楽になれ」

 そう言ってライゼーは今までにないくらい大きな炎を左手にまとった。そ、そんな炎を浴びたらイッセーが死んでしまう!

「これで終わりだ!」

 そこからのことは私には何が起きたのか分からなかった。ライザーが炎を振り下ろすのと同時に私は前に駆け出し、そしてさらに同時に私の横を黒い影が通りすぎてライザーが吹き飛んだ。私はライザーには目もくれず後ろに倒れようとしているイッセーに駆け寄り、倒れる前に抱きとめる。

「イッセー、こんなになるまで……」

 そのままイッセーをその場に寝かせ膝の上に頭を載せる。傷こそアーシアのおかげで目立ったものはないけれど、服を見ればぼろぼろだった。実戦経験なんて皆無のはずなのにこんなになるまで。皆私のせい。わがままを言った私の……

「ごめんね、ごめんねイッセー。私なんかのために……」

 涙が私の頬を伝ってポタリポタリとイッセーの顔に落ちる。それにイッセーだけではない。皆だって私のために傷ついて……。もうこれ以上皆に傷ついてほしくない。もう、もう……

「私、私の負k……」

パンッ!

 その私の言葉を遮ったのは頬に感じた鋭い痛みだった。







   ☆







 頭の上でした音に俺は意識を回復し、目を開けると泣きながら頬を抑える部長と厳しい顔をした火織がいた。良かった、火織は無事だったのか。

「火織、あなた無事だったの……」


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