第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
綱手
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ることを拒否した――逃げていたのである。自分の大切な人がまた殺されてしまうかもしれないという恐怖から。
その時、頬に感じた衝撃は。間違いなく自来也の拳であった。
「お前の人生は……ダンと、縄樹だけなのかっ!」
「――っ!? 自来也、何を……!」
「あの二人がいなくなった途端、お前の人生はどうでもよくなってしまうのか!? 病払いの蛞蝓姫はどこに行った! お前なら払える病がもっと沢山あるはずだろう! 忍びならば近しい者が死ぬのを覚悟するのは当然――それを二人殺された為に忍びをやめ目的もなく放浪し、人生を無駄にしてどうする!! 前途有望な忍びが木ノ葉で忍者廃業になるほどの大怪我を負っており、大蛇丸は木ノ葉崩しを目論み、ジャシンという怪しげな男が暁の存在を告げてきた。今木ノ葉は危機に陥っている」
激しい口調にたじろぐ綱手に詰め寄り、自来也は言った。
「――木ノ葉の里にはお前が必要だ! そしてお前の人生は、決してダンと縄樹だけだけではない!」
自来也が身を翻して去っていく。「インテリエロ助」と呼んでいたあの頃の自来也には決してなかった「もの」を、自来也はもう既に持っていた。彼は既に一人前の忍びなのだ。
でも、自分は?
綱手は打たれた頬に手を添える。心配そうな声をかけてくるシズネに、綱手は不意に思い知った。
綱手の人生は決してダンと縄樹だけではない。綱手には自来也もシズネも、口寄せ動物のカツユもいる。今ではS級犯罪者と成り果てた大蛇丸さえ綱手の人生の一部だ。
綱手の人生は綱手の人生であり、そしてそれを有意義に過ごすも無駄にするもすべて綱手が決めるのであって、ダンと縄樹の死が決めるものではない。
そして綱手は決めた。木ノ葉に戻ろうと。
綱手の人生を決めるのは、綱手だ。
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