第四話
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ような位置。ほんの数センチつま先の間にあるくらいの位置で、俺の顔を下から見上げている。
「っ!?」
「お、ようやく気付いたな」
再びニヤリ、という感じで笑う先輩。
ここまでの至近距離で先輩のニヤリが見れるとは……俺はなんて幸せなのだろう。
「どうかしたのか?向こうを見たと思ったらそのまま固まって」
「いや、ええと、ですね……」
「猫しかいないぜ?」
そう言いながら先輩が指差す方向には、確かに黒猫がいる。そして、次の瞬間には飛び降りて走って行ってしまった。
そして、ラインと名乗った少女は、いない。
「えっと……今ここに、女の子、いませんでした?」
一応、先輩に聞いてみる。
「いんや?ここにいたのは私とカミナの二人だけだったぜ?」
こんな状況でありながら、俺は先輩の『二人だけ』という言葉に、嬉しくなってしまった。
「そ、そうですか……」
「お、鼻の下が伸びたな。なんだなんだ?こんな男っぽい口調でお子様体型の私といてうれしいのかい?」
「そりゃ、先輩みたいな可愛い人と二人だけ、となるとつい」
「そ、そうか……ほれ、さっさと買い物行くぞ!」
「了解です!」
ちょっと赤面した状態の先輩を見てニヤニヤしながら、俺も後に続く。
そう言えば、さっきの猫はどうなったのかと思って走って言った方向を見ると、もう猫はいない。これだけなら、さっきまでの出来事をただの白昼夢か何かだと思う事も出来たんだけど……手には、しっかりと黒い携帯電話、『Dフォン』が握られていて。
「……何があったんだ……?」
先輩の横につきながら、聞こえない程度の音量でぼそっとつぶやいた。
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