第四話
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当ですよね。もしかしたら、話してみると気が合うのかもしれません」
「そいつは面白そうだな!」
表情も戻って笑う先輩を見て、俺は安心する。と、そこで俺は何かに視線を引き寄せられた。
それは、先輩の後ろにある校門……いや、違う。その上で寝ている猫だ。丸くなって寝ている、黒い猫。
どこかで見たことがあるなぁ、と思ったらそれは今日の授業中に見た夢の中に出てきた猫だった。なんて事のない、ただ猫が寝ているだけなのに、妙に気になる。いや、それにしても……あの夢に出てきた猫に、似すぎではないだろうか?
「何で、こんなに……」
と、そこで俺は朝の会話のテーマであった、『再現される夢』のことを思い出した。
―――その時だった。
「お兄さん」
急にそう呼ばれた俺は、振り向いた瞬間に数秒かたまってしまうほど驚いた。
斜め後ろ、すぐそばにさっきの真っ白な女の子が立っていたのだ。その白さに影響されてか、俺の頭の中も真っ白になる。いや、それは関係ないだろう。
だが……思考が止まっているのは、確かだ。
「はい、これ。お兄さんの」
両手を、すくい上げるようにして差し出す白い少女。
その手には、漆黒の携帯電話が乗っていた。
黒い不思議な光沢を持った、中々にデザインのカッコイイ、折り畳み式の携帯電話。艶やかなその表面を見ていると、どこか吸い寄せられるような気分になってくる。
「俺の、じゃないんだけど……」
俺の携帯電話は、別にある。スライド式で、そもそも折り畳み式ではない。色も、黒ではなく青色だし。
が、白い少女は首を横に振って、さらに高く差しだしてくる。
「ふふっ……はい。これはお兄さんの『Dフォン』だよ」
「ディーフォン?」
「そう、Dフォン。お兄さんの運命を導いて、そしてお兄さんを運命から守るための。お兄さんだけの端末。だから……持っておいた方が、いいよ?」
運命、か。そんな言葉をこんな小さな子から聞くとは思わなかったが、ふざけているという様子はない。子供がそれっぽい遊びをしている、というのもまだ可能性としては残っていたのだけれど……その冷静そうで静かな声音から、どうしても俺にはそう思えず。
「きっと、お兄さんを助けてくれるよ。多分、だけど」
「……なんだか、曖昧だなぁ……」
そう言いながらもこの言葉には逆らえないと思ったので……そのまま自然と、俺の手は『Dフォン』を握っていた。妙に手になじむ感触と、みていると心が惹かれるデザイン。そういった様々な要素から、無意識のうちにこれを『俺の』だと認めていた。
「そのDフォンは、お兄さんと因果……見えない縁、みたいなものが繋がっているロアを探してくれる。だから、大事にした方がいいよ?」
「……因果に、ロア?
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