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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第四話
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包んでいて、同様に真っ白なつばの広い帽子を目深に被っているのであまり顔は見えない。唯一見える口元は小さな笑みを浮かべている。
 長い、そして癖のある髪はふわふわとしていて、その白さもあって綿雪のようだ。
 背丈からして、小学校低学年くらいだろうか。全体的に幼いのに、しかし物静かそうに感じる。いや、別に幼くても物静かな子はいるか。
 なんにしても、そう言った全体的な印象に加えて黄昏時の薄暗さ、良く分からない雰囲気が相まって、軽く恐怖体験になっている。現実では起こり得ないとか思ってたらすぐに起こったよ……
 さて、それにしてもなんでなんだろうか。何でこの子は、こんなところにいるのか。
 ただこの学校に興味を持っただけ……いや、もしそうなら学校側を見ているだろう。今彼女は、本当に何故なのか俺の方を見ている。なら、誰かの妹が迎えに来たのだろうか。いや、そうなら学校の中に入ってきそうだし、何よりこんなに幼い子を迎えによこすだろうか?
 何にしても、そんな疑問からなのか、それともどことなく怪しげな雰囲気からなのか、俺は目が離せないでいた。
 彼女は俺と目が合って(目元が見えないから分からないけど)少しすると、笑みを強くした。その唯一見える口元が動き、そこに目がひかれる。だから、何を言っていたのかはなんとなく分かった。
『あとでね』と。

「……何が?」

 無意識のうちにぼそっとつぶやいたが、おそらく聞こえていないだろう。なんにしても、何がなのか分からないのでしっかり尋ねようと、一歩近づき……

「よっす、カミナ!」

 と、そのタイミングで背中側からバリバリ男っぽい口調の、しかしとてもかわいらしい声が聞こえてきた。
 そして、それと同時に背中を叩かれたので慌てて振り返って下を見ると、そこには小柄な女子の先輩がいた。ちなみにだが、身長は俺の胸くらいまでしかない。
 そんな小柄な先輩こそ、俺が待っていた憧れの人、可美乃(かみの) 亜沙(あーさ)先輩である。
 その口調と短めの髪から少年っぽく見えがちだが、しかし中身は結構乙女な人。顔もとても可愛い。

「先輩……相変わらずちっさいですね」
「身長のことを言うなよな!?」
「でしたら、俺のこともカミナって呼ばないでくださいよ。凪って名前があるんですから」
「ヤダヨ。だってカミナはカミナじゃん」
「だったら、先輩が小さいのも事実でしょう?」

 と、もう毎度おなじみのこのやり取りにもあきれずに付き合ってくれる当たり、本当にいい先輩である。こんなところも生徒の間じゃ人気で、生徒会長としての支持率も高いんだとか。
 さて、普段のやり取りをしたおかげで少し落ち着いたかな。

「んで?なんかボケっとしてたみたいだったけど、何かあったのか?」
「いえ、さっきそこに女の子が
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