第三話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の仲もこれまでだろうな」
そう言って顔を別の方向に向けるアレクを見ながら、実際にはそこが限度の中なんだけどなぁ、とぼやく。
そして、この見た目であんな呼び方をしたりこの行動をしたりするこいつは俺の中ではヒットだ。
「そうか。これまで一年ちょっと、短い付き合いだったな。それと、カミナって言うな」
このあだ名は一体どこまで広まってしまったんだと思いつつ、射座正面にある時計を見る。まだ部活が終わる時間ではないが、撃ってしまえば帰るのは自由な部活だ。そろそろ帰りどきなのかもしれない。
「……いや、待てカミナ」
「何だ、他人」
「貴様とキスをしたなら、ティアたんと間接キスになるのか?」
反射的に殴りかかってしまった俺は悪くないだろう。片手で受け止められたが。
「ふざけたことを言うな……そうだな、もし万が一にも、俺がティアとキスできるというとても素晴らしいことが起こったのなら、そうなるのかもしれないな」
「ふむ、そうか・・・ならキサマとのキスは後回しだ」
「フンッ!」
今度は腹に一撃入れた。こいつは一瞬気を抜いた時に手をグーパーと一度閉じて開く癖があるので、そこを狙えばうまいこと行くのだ。
「キ、キサマ………」
「気持ち悪いこうとを言うな。ったく、お前はどうしてそうなんだか……」
ほら見ろ、女子の皆さんが色めき立っちゃったじゃないか。最近そういう女子が増えてきた傾向にある気がする。
それにしても、ティアとキス、ねえ……ふと、毎朝顔を寄せているために少し近い距離から見ている彼女の顔が浮かんだ。
その病的なイメージとは違ってピンクで張りのある唇。そしてあの愛らしいタレ目が恥ずかしそうに閉じられたものなら………
………悪くない、むしろ素晴らしすぎる想像だ。こう、彼女を全力で守っていきたいという感情が湧きおこり、同時に胸がドキドキしてきて、早く早くと体中が俺をせかしてくる。が、その唇同士が触れ合う直前に、その邪念を記憶の奥底にしまい込んだ。
……実際には振り払うのがいいんだろうけど、そうするには惜し過ぎるほどに出来がよかったんだ。
「まあ、俺には心に決めた人がいるし」
「……まだ諦めていなかったのか。これからも無駄な努力を重ねるつもりなのか?」
「いや、お前には言われたくないぞ?」
……アレクの言葉を否定するのは難しいのだが、俺に心に決めた……とまでは言わなくても。それでも、かなり本気な片思いの相手がいるのだ。
「だが、どう考えても無理だろう、カミナでは。オレのようにあらゆるものを兼ね備えている者でもなければ、な。まず間違いなくキサマに『あーちゃん』は荷が重い」
「カミナ言うな。そんでもって、釣り合うかどうかが重要ではないだろ」
「いや、そういう問題だろう。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ