憎悪との対峙
39 危険な違和感
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い世界が映し出されていた。
視界がぐるぐると回り、凄まじい速度で敵をなぎ倒していく。
『ヤァァァ!!』
眩しい閃光とともに放たれる弾丸、襲い掛かってくる大人数の敵に対して、いつもの彩斗からは想像も出来ないような攻撃性を目の当たりにした。
既に獲物を狙う獣の視点だ。
「スゴイ…として言えないわよね?正直、私も驚いているわ」
「これだけの人数を相手にしていたっていうの?凄まじい性能ね、スターダスト」
「それだけじゃないわ。あの子の運動能力と精神力よ。今までクインティアに稽古をつけられている様子とは…ぜんぜん違う」
アイリスからすれば驚くのは普段の虫も殺せぬような優しさを持った彩斗をここまでの戦士に変えてしまうスターダストの性能の方に脅威を恐ろしく感じていた。
しかしハートレスはそれ以上に彩斗自身の変化に驚いていたのだ。
「どう考えてもスターダスト自体が常人の扱えるシロモノじゃない。ここまで自由自在に扱えているなんて..」
「サイトくん自身に何か特殊な資質があるとか?」
「でしょうね。少なくとも、あの子を含め、『ロキの子』たちはムーの因子を持ってる。大半の電波体を扱うことはできるでしょうけど...ここまで規格外のものとなると、それしか考えられないわ」
「...」
「見て。まるで別人よ」
周囲の光景や物体との距離を分析し、スターダスト自身の動きを再現した映像が表示された。
スターダストは飛び上がって攻撃を交わすと、空中で側方回転して蹴りつけた。
更にはスズカを抱えた状態で下の階が燃えている中、ベランダから飛び降りた。
凄まじい運動能力なのは言うまでもないが、下手すれば命を落としかねない、また生身では到底出来ない行動を実行する精神力も相当なものだ。
ついこの間まで人を傷つけるということ自体に恐れを抱いていた少年と同じ人物であるとは考えられない。
「それに…これだけじゃないのよ」
「え?」
「気づかない?私はこの戦い方を見たとき、明らかな違和感を感じた」
「違和感?」
「見て」
「何も変なところなんて…」
「よく見て…今まさに攻撃を仕掛けている敵を蹴り倒した。普通なら防ごうとするのが先じゃない?」
「あっ…」
「ここだけじゃないわ。システムがダメージを受けたと認識しているのに、全く怯んでも、痛がってもいないし、戦闘にも全く変化が無いわ」
アイリスはあまりにも恐ろしい事実に気づいて背筋が凍った。
自分の命など全く気にしていないかのような戦闘スタイルに普通ならそれに待ったをかけるはずの痛覚という身体の機能すらまともに働いていないとすれば大問題だ。
防御や避ける動作を最小限にして戦いの上は有利に進めることができるとしても、危険極まりない戦い方としか言いようがない。
「…いずれに
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