憎悪との対峙
39 危険な違和感
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とすれば急所が外れていたと考えるのが妥当だ。
ただ単に狙いを外しただけかもしれない、しかしあれだけの性能を持つ電波人間が外すというのもおかしな話だった。
「最初から眼中に無かった、殺すにも値しない、っていうこと?」
クインティアは皮肉を言いながら、枕元に置かれた時計を手に取る。
OMEGA・シーマスター プロダイバーズ300M コーアクシャル・クロノメーター。
300メートル防水という一般的な時計を遥かに上回る防水性能を持ち、過酷な環境下でも耐えうる性能に高精度のコーアクシャルムーブメントを搭載した相棒だ。
しかし既に止まっている。
自動巻きのムーブメントであるため、普通のクォーツ時計と違い、腕に装着していない状態ならパワーリザーブと呼ばれる一定時間が過ぎれば止まる。
この時計のパワーリザーブは約48時間、つまり約2日だ。
すなわち自分は2日以上眠り続けていたことになる。
近くの時計を見ると、10月30日の午後9時32分を指している。
確かに3日に迫る程の眠りに落ちていたのを確認し、ため息をついた。
「何年ぶりかしら?」
クインティアはリューズを13回程、回らなくなるまで巻き、動き始めたのを確認した上で日付と時間を合わせた。
ゆっくりと立ち上がり、ベッドを覆っていたカーテンと隣のカーテンを開ける。
「ジャック?」
「あぁ…姉ちゃん、起きたか?」
隣のベッドではジャックも自分と同じように包帯だらけで横になっていた。
自分より腕や足など接近戦によるダメージが大きいようだ。
「随分とやられたわね」
「あぁ…大体、打撲や切り傷だ」
「でも…にしては酷いやられようじゃない?」
「強いて挙げれば、アイツのハンドガンサイズのショボイ銃で撃たれたのが一番のダメージだ」
「…」
ジャックはゆっくりと体を起こし、摘出されてビンに収められた弾丸をクインティアに見せた。
黒曜石のような輝きを放つ弾丸、見ているだけで危険なものなのは何となく感じた。
「気をつけろ。今でこそ大した事ないが、凝縮されたクリムゾンが詰まってた」
「!?…じゃあ」
「食らってすぐに変身を解いたから良かったが、あのまま無理に電波変換を維持しようとしていたら…内側から肉体が破壊されてた」
「電波体にとってノイズの塊であるクリムゾンは猛毒、そして電波人間のベースとなるのは人間の肉体…」
「現にすぐに変身を解いたっていっても、この有り様だ。内蔵や筋肉が内出血してまともに動けるようになったのだってつい数時間前だ」
スターダストがジャックに使った『クリムゾン・ブレッド』、それは通常ならば電波人間の体内に蓄積されるノイズを凝縮し、クリムゾンとなったものを弾丸として排出して武器とすることで、スターダストへのノイズによる悪影響
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