憎悪との対峙
39 危険な違和感
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ステム自体も互いの理想型へと近づけているのだ。
今までのシステムから肉体へのダメージはその結果だ。
無理に自身に肉体を適合させようとするシステムと体にかかる負担を最小限にしつつシステムを支配しようとする肉体の機能がぶつかったのだ。
それはまた違う一種の完成形であり、今日よりも優れた能力を発揮する状態でもある。
少年は笑みを浮かべながら終話ボタンに指をかける。
だが安食はそれを止めた。
「待て」
『ん?まだ何か?』
「…私はお前を信用してない」
『うん、知ってるよ』
「…本当はロックマンが何なのか知ってるんじゃないのか?」
『…っていうと?』
「ロックマンそっくりの電波人間に変身させる電波体が自然に現れるわけがない。それに偶然、我々に命を狙われた少年の元に現れるともな。だとすれば何らかの意図で作られ、少年の元に現れたと考えるのが自然だ」
『ごもっとも』
少年の態度は全く変わらない。
口調も変わらず、図星であることを全く匂わせない返答だった。
しかし反面、安食の声色は変わった。
「いいか…何を企んでるかは知らんが余計な事はしないことだ」
そう告げて安食は電話を切った。
少年が裏で動いているということは何となく分かっていた。
だからこそ釘を刺そうと思ったが、無意味であるということは分かっている。
少年はValkyrieの味方をしているが、Valkyrieの人間ではない。
裏切ろうと思えば、いつでも裏切れる。
そんな人間に釘を刺すことなど出来ないのだった。
安食はため息をつきながら、ベッドに横になり、アラームをセットした。
「…うぅ」
同時刻、クインティアは目を覚ました。
ゆっくりと体を起こすと、じわじわと頭の中に血が巡り始め、熱くなってくるのを感じた。
ここは自分の部屋ではない、ならばここはどこなのか。
なぜここにいるのか。
「そうか…私は… 」
記憶が戻ってくる。
2日前の夜、屋上で彩斗と戦闘を行い、強大な戦力で圧倒された。
全く予想できなかった。
スターダスト自体の出力は自身の力と同等かそれを僅かに上回る程度だと考えていたが、彩斗自身の戦闘力も恐ろしい程に向上していた。
自分が施したムエタイや八極拳だけではない。
琉球古武術と思われる謎の武術、東南アジアで用いられるシラットなど幾つかのものが混合している。
思い出せば思い出す程、胸のあたりに痛みが湧き上がった。
上半身、特に胸のあたりは包帯でいわゆる「さらし」を身につけている状態になっている。
「あぁ…生きてる…急所を外した?」
青く輝く閃光が自分の胸を貫いた。
しかしあの威力なら普通に考えて命はない。
だ
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