第012話 執念のゼロ
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ガキンガキンッ! ガギャッ!!
完全に拮抗していた状態を崩して
突然、カイエンは攻撃を止めた。
「どうした?もう終わりか?」
ゼロはその行動の不自然さに気付いていた。
だが、その先が分からない故に動けなかった。
「‥‥‥‥どうじゃろうかのぅ」
カイエンの一言には二つの意味が込められていた。
一つは、相手に予想に対する撹乱のため。
もう一つは、本当に先を知らない自分の本音。
そうなれば、臨機応変に対応するしかない。
それが二人の剣士が出した最終的な結論だった。
「足が止まってるぜ?」
ガシッ!
足元からの声にゼロは僅かにギョッとした。
そして、何かから両足を掴まれて動けなくなった。
その正体は、″物体潜行″を使用して
上半身だけを床の上に出しているジョンだった。
「油断したなぁッ!!」
セキレイが走りながら叫んだ。
鉤爪を後ろに振りかぶりながら跳びかかった。
「失せろ」
ドッ!!
ゼロがジョンの肩に向かって、思いっきり剣の先で突いてきたが
ジョンは急いで体を沈め、攻撃を回避できたようだった。
熱を帯びた剣は、硬い床に先だけが突き刺さっていた。
しかも、黒い煙がモクモクと上がっていた。
「あ、危なかった‥‥‥」
ジョンは少し離れた位置に浮かび上がってからつぶやいた。
彼の服の肩付近が少し焦げていた。
ゼロは向きを変えて、セキレイの方を見た。
「フンッ!」
ブオッ!!
彼は剣を思い切り振りかぶり、そのまま勢い良く振った。
軌道は、丁度セキレイの胴体を真っ二つにするものだった。
「″超重堅鋼《へビメタ》″!!」
セキレイの身体が高密度の金属に覆われた。
彼の一撃に受けて立つようだった。
ガキイイィィィィィィィィィイインッ!!
彼の胴体にゼロの剛剣が激突した。
そのままセキレイは少し遠くに落下した。
少しの間動かなかったが、すぐに身体を起こした。
「いってぇッ‥‥‥‥なんて重い一撃だ」
″超重堅鋼″を使用して体重は数百キロほどになっていたはずだが
それを数メートルも弾き飛ばされたセキレイは腹を押さえてつぶやいた。
腹部にはわずかな変形が見えたが、傷はないようだった。
彼の熱でも″超重堅鋼″は一撃では壊せないようだった。
「分からねぇか?おれも囮だよ。本命は‥‥‥‥‥‥」
タタタタタタタタタタタッ!
一つの小さな影がゼロに向かって走って来ていた。
少し笑いながらセキレイは言葉を続けた。
「あっちだ」
振り向いたゼロの視界にいた者を見て
彼は少し目を見開いた
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