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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
兄と妹。その想いに込めるのは。
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「一つ目に、約束。この喧嘩は、どっちかの勝ちが決まるまでやることを約束する。」
「・・・喧嘩、なんだね。」
「ああ。生涯初の兄妹喧嘩だ。そして・・・これは、仲直りとかで終われるものじゃない。」

湖札自身もそう思っているのか、体を起こした一輝に向けて一つ頷く。

「じゃあ、二つ目だ。俺が勝ったら、湖札は俺に隷属しろ。」
「やっぱり、そう来るよね。」
「そういくにきまってるだろ。どっちかが隷属する以外では、この件は終われない。」

その形でけりをつけなければ、本人たちは構わなくても周りから干渉される。
片方は魔王連盟に所属する魔王で、もう片方はその魔王連盟に戦いを挑む側の人間。敵対する組織に所属している以上、絶対に裏切れない形を作らなければ周りは納得してくれない。

「でも、うん。OK、それで行こう。・・・私はまた直前に誘うから、それまでに考えが変わってたら言ってね。」
「変わることはないから、このままでいいさ。お前も俺も、今の場所を捨てる気はないんだから。」
「分かってる。それでも、聞いておきたいの。・・・お互いに本気で、喧嘩しようね。兄さん。」

最後にそう言い残して、湖札は立ち去る。湖札がそのまま魔王連盟の元に戻ろうとしているということが分かっていながら、一輝はその後を追わない。
家族が間違った道に進んでいるのに、それを止める気は一切ない。そんな歪んだ感情。
ただ、それでも。一つ残っているとすれば・・・

「・・・妹との喧嘩で本気を出す兄貴が、どこにいるんだよ。」

それは、湖札が立ち去ってからしばらくした後。
一輝がその場を立ち去る寸前に口にした、この言葉ではないだろうか。

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