暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王デュエルモンスターズ 〜風神竜の輝き〜
第3章 新たなる好敵手
第13話 忍び寄る魔の手
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そんな彼に、背後から誰かが声をかけた。

「咲峰君?どうしたの?」
「……霧島か。眠れなくてな。ちょっと夜風に当たっていた」
「なんだ、咲峰君もなんだ。私も」
「咎める気はないが、あれほど盛り上がられては、眠れた物じゃなくてな」
「あははっ、まさか眠れない理由まで同じとは思わなかった。まっ、友達の家に泊まったり、修学旅行だったり、みんなで寝泊りするのはテンションあがるもんね」
「ああ。それについては否定はしない。むしろ同意見だ」
「それより、綺麗だね、星。アルカディアシティじゃこんな綺麗な星見れないよ」
「そうだな。空気が澄んでいてよく見えるんだろう」

それから少しの間、2人は一言も言葉を交わさずに、星を見続ける。
静寂の中で先に声を発したのは、燈輝の方だった。

「それじゃあ、俺は先に部屋に戻る。霧島も、体が冷えない内に戻れよ」
「うん、ありがとう。お休み、咲峰君」
「ああ、お休み」

挨拶を交わしてから、燈輝はバルコニーを後にする。
燈輝を見送った火凛は、また空を見上げて星を眺めた。

「そう言えば、さっきのデュエル楽しかったなぁ。やっぱり咲峰君は強かったし」

さっきと言うのは、燈輝から南雲 遊雅の話を聞いた直後の事だった。
昂ぶりを抑えきれない燈輝に、火凛は1戦付き合ったのだ。
残念ながら火凛は切り札を使用したにも関わらず、惜しくも敗北してしまったのだが。

「今回は勝てると思ったんだけどなぁ。まっ、次があるよね」

改めて敗北を吹っ切った火凛は、再び空を見上げる。
それとほぼ同時に、彼女は背後に気配を感じた。
燈輝が戻って来たのだろうか、と考えた彼女は振り返る。
しかし、そこに立っていたのは全くの別人だった。
その者は、ローブで全身を覆っていた。

「悪いが、付き合ってもらうぞ」
「えっ……」

何の疑問も口にできないまま、男が右手を差し出すと同時に、火凛は意識を失ってしまった。
男は意識のない火凛を抱え上げ、バルコニーから飛び降り、夜の森の中へ消えていった。

◇◆◇◆◇◆◇

「……何だ?」

バルコニーを後にした燈輝は、そのすぐ後に、今さっきまで自分がいた場所から聞こえた異音に気をとられた。
火凛が1人で空を見上げているにしては不自然な音。
それは、火凛がバルコニーの床に倒れこんだ音だった。
燈輝はわずかに心をざわつかせ様子を見るためにもう一度バルコニーへ向かう。
空を見上げているはずの火凛は、既にその場にはいなかった。

「霧島……?」

念のため、バルコニーから身を乗り出して辺りの様子を窺う。
そして発見する。
何かを担いだまま森の中へ消えていく何者かの姿を。

「まさか、奴が……!」

燈輝は急いで自室へ戻る。

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