episode1
[2/2]
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
「ちょっ、離してよ! もう帰るんだから!!」
アーロンの手がアンカーの体を掴む。小柄な彼女の身長は、アーロンの手の平に収まる程度しかない。捕まってしまえば、簡単に持ち上げられ逃げるのは不可能だった。
足をバタつかせて抵抗してみせるも、無駄に等しかった。
「お前、俺の船に乗れ」
「ヤダ」
遠巻きの連中から「ひぃっ」と声が上がる。
誰もが、アンカーの死を想像した。身動きが取れない今の状態で攻撃を喰らえば、アンカーの命は無い。
しかも、アーロンはここらでは最強の海賊と謳われている。そんな男の誘いを断った者はいない。もし断りでもすれば、殺されるかもしれないと考えていたからだ。
「理由は?」
「ワタシは海賊が嫌いだ。アンタも、嫌いだ」
再び、遠巻きの連中から悲鳴が上がった。「何考えてんだあの馬鹿!」だの「殺されるぞ...」だの、様々な声がざわざわと鳴る。
「シャハハハハハッ!! なら、仕方がねぇ。帰んな」
「......」
「...またな」
意外な反応。アンカー自身、これは死んだなと考えていた。まさか、笑い飛ばされるとは思っていなかった。
そっと降ろされ、耳元で「またな」と囁かれたのには驚きを隠せなかった。
この時、アンカー16歳。アーロン25歳。
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ