番外19話『スカイピア』
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緊迫感すら感じられるその動きに、それをそばで見ていたウソップとチョッパーがやはりどこかのんびりと顔を見合わせる。
そうやって二人の背中を見つめることほんの一秒。
ルフィとハントは淀みなく、綿のような雲の上から空の海へと向かって顔を出し、そして――
「――オロロロロロロ!」
口からそれを噴き出した。
「なにやってんのよ、あんたたちはっ!」
メリー号の上からナミの声が彼らの背中へと降り注ぐ。
「まずっ!」
「まっじ〜〜〜っ!!」
吐き出し終えたハントとルフィが同時に青い顔で言う。
「いきなり空の海をばっちくさせるなんて……これが海賊か」
「チョッパー、単純にあいつらがバカなだけだからな」
「そうなのか」
食べなかったのではなくただ食べられなかったウソップとチョッパーが冷静に、そしてどこか他人事のようにそれらの背中を見つめるのだった。
寄り道をしながらも彼らは空の海を進み、そしてついにたどり着く。
「天国の門……だと?」
海に浮かぶ陸地のような雲を抜けた先、そこに見えたのは言葉通りの文字が書かれた大きな門。
門の装飾は明るく、ド派手。
やってくる人間たちを歓迎しているようにすら見えるが、門にでかでかと書かれている文字は残念ながら死を連想させて人間によっては大いに不安を誘う。
2面性をまるで強調するかのように悠然と居を構えるそれの後ろの景色には巨大な滝のようなものが流れていて、それがさらにそれに仰々しさを生み出している。
「縁起でもねぇ……死にに行くみてぇじゃねぇか」
「いーや、案外俺達ぁもう死んでんじゃねぇか?」
「そうか、その方がこんなおかしな世界にも納得がいくな」
ウソップが漏らした相変わらずの言葉を、ゾロとサンジがからかうように呟いては、それを真に受けてチョッパ―が「死んだのか俺たち!?」と驚愕の表情を浮かべる。その横ではルフィが「天国かー、楽しみだ! これから行けるんだ! やっと!」と気持ち悪いぐらいに嬉しそうな表情を浮かべており、さらにその横ではハントももう待ちきれないと言った様子で周囲を見回しては「おお!」と自身でも気づいていないような声を漏らして興奮している。
と。
「見ろ! あそこ誰か出てきたぞ!」
「観光かい? それとも戦争かい?」
ウソップの指さした方向から出てきた老齢の女性がルフィたちを写真で撮影しながら、海賊旗にひるむ様子を微塵も見せずに問いを投げかけてきた。
「戦争って……あぁ、海賊だからか」
物騒な言葉にハントが目を白黒させつつも、だが結局は一人で納得してすぐに頷いた。老齢の女性の言葉に誰も答えようとしないのでハントが口を開いて答えようとするも、どうやらお婆さんにとって
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