番外17話『デリカシー』
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呟いたのだった。
「収穫、一応はあったと言えるのかしら」
「あ、ああ」
酒場を出て、特に感情の見えない声で平然と呟いたロビンに、ハントは少しだけ頬をひきつらせながら頷いた。
――ロビンって……怖い。
ロビンの隣で歩きながら、ハントは酒場であったことを思い出しながら内心で呟く。
酒場で空島のことを聞いたた二人だったのだが、それを聞いていた店主やならず者たちが「どこの夢追いだよ、まるでクリケットだな」と大爆笑。ハントは単純に首を傾げただけだったのだが、それとは対照的だったのがロビンだった。
己の能力で全員を組み伏せて「そのクリケットという男の居場所を教えなさい」と強引に聞き出した。
そのいきなりのサマがハントにとっては怖かったらしい。
――できるだけ怒らせない方向にしよう。
心の中にそれを書き込んだハントが一人で頷いたとき、ちょうどメリー号がハントとロビンの視界に映ることとなった。
「私そんなに面白いこと言った!? 何なの一体っ!」
「随分荒れてどうしたの?」
「なにかあったのか、ナミ?」
船着き場の下から尋ねた二人に、サンジが「ああ! お帰りロビンちゃ……ってなんでてめぇが一緒なんだ!」と怒鳴り声をあげ、同じくそれに気づいたルフィが「お前ぇらどっか行ってたのか」と首を傾げる。
唯一顔を強張らせるだけに留まって、無反応に近い反応を示したナミ以外は普段通りの反応だ。この時点で普段のハントならばそのナミの異変に気付いていただろう。だが、今のハントは空島に浮かれすぎていて、残念なことに少しナミの様子がおかしいことにすら気づけていない。
だからこそ。
「服の調達と――」
「――空島の情報だ!」
ロビンの言葉を引き継いで、ハントは笑顔のままで言い放つ。
「おっ、宝の地図だ!」
「ただの地図だろ、どこだこりゃ?」
「この島よ」
ロビンが入手した地図について会話を交わすロビンとルフィたちを尻目に、フと自分の甚平の裾を引っ張られたことにハントが気付いた。
「……?」
振り返ると、そこには顔を俯かせたナミが。
ナミに裾を捕まれたということ自体が嬉しくて「お、ナミ! あ、そうだ聞いてくれよ。さっきロビンと酒場に行ったんだけどさ」と先ほど酒場であったことを話そうとする。やはり、ナミにどこか元気がないというのにそれに気付かない。ただただ楽しそうに、笑顔をナミへと浮かべる。
「……ロビンと一緒にいたの?」
「ん? ああ、そうなんだよ。いや、っていうかそんなことよりさ、ロビンって結構こわいん――」
普段通りに。
酒場であったことを雑談として話そうとしたハント。
だが、その言葉は途中で遮られることとなった。
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