番外17話『デリカシー』
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「――お前は行くなぁ!」
船の食糧を確認していたサンジが船室から出ると同時に呟いた言葉に、慌ててサンジへとしがみついた。
「お前まで行っちまったら……こ、この船がもし……お、襲われ……」
「行がな゛いでぐれよぉ」
ウソップとチョッパーの涙ながらの訴えに、さすがのサンジもそれを引きはがすことは出来なかったらしく「わ、わかったよ……離せよ」と力なく外出を諦めた。
もしもここにハントがいたら「俺が行くに決まってるだろ!」というハントと「俺はてめぇとナミさんの仲を認めたわけじゃねぇ!」というサンジの張り合いに発展して二人ともいなくなってしまう可能性の方が高そうではあったが、そもそもハントがいれば、ハントにルフィとゾロについて行かせてナミはここを動くこともなかっただろうからそれは意味のない可能性かもしれない。
「……ん? ロビンちゃんは?」
「……?」
「……あれ、いない?」
「……」
「空島……空島かぁ」
歩きながら、ハントがふと言葉を漏らした。興奮と、想像と、疑問と、期待と……様々な感情がこもった表情で、だがやはり一番はわくわくとした、という表現が最もふさわしいであろう表情で首を傾げる。
「……」
「どんな島だろうな」
足を止めることなく空を見上げて、雲を見つめて、また呟く。
「……」
「雲の上に島があるのか? それともなんかこう……もっとわけのわからない不思議な感じか? ……どう思う?」
隣を歩く女性――ロビンへと話を振る。
先ほどからほとんど無視していたロビンだったが、それでも話しかけられては答えずにはいられないのかため息を一度落として、呟く。
「そうね」
ロビンの端的な返事。というか返事として成立していない返事に、ハントの反応が早かった。
「どう思う? って聞いて『そうね』って返ってきちゃったよ! ほとんど俺の話聞いてなかったのかよ! この距離で!? まさかの!?」
異常なほどにハントのテンションが高いのは空島という存在に、やはり興奮しているからだろう。にしても少しウザいレベルな気がするが、だからこそロビンは少し困惑気味というか迷惑気味というか、そういう表情なのかもしれない。
そもそも一人で動くことに慣れているロビンはモックタウンでの聞き込みを単独で行おうとしていた。それを、このハントに見つかってしまい、今に至る。一人ぶつぶつと空島に思いをはせているハントを見る分にはただただ間抜けそうな男でしかないのに、ロビンが得意としているこっそりと抜け出すという行為を見つけた男がよりによってこの男だ。
小さくため息を落としてたロビンがどこか悪戯な笑顔で立ち止まる。
「……ん? 聞き込みするんだろ?」
同じよう
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