第六話「レストラン・パニック」
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となった。
「──これで残り1人ですの。大人しく自首した方が身のためですけど?」
ふっくら体型の男を金属矢で地面に縫い付け、黒子は最後の1人と向き合う。それは黒子にも見覚えがある人物だった。
「──ご無沙汰ですわね。能力は確か……絶対等速でしたかしら?」
「ぐっ……」
約一年前になろうか。黒子がまだ風紀委員なりたての頃にある事件にあった。その事件は彼女に風紀委員としての自覚を、そして相棒との絆を作り出すという重要な彼女のキーポイントであり、今も彼女には印書深い出来事であった。
その時に相対した能力者──それこそが今も再び相対している『絶対等速』の男なのだ。
「あれから約一年……懲りずに銀行強盗とは、まったく成長してないですのね、あなたは」
「なにっ!」
この一年、色々なところで成長してきた黒子にとって、目の前の男は一年前からまるで成長してなかった。同じように銀行強盗を働き、同じように失敗し、同じように、黒子と相対していた。
「大人しくお縄についた良いですの。それとも、今度こそわたくしにブチのめされたいのですか?」
男はここに来てようやく気づいた。目の前の少女は、一年前に自分に立ち塞がったひよっこ風紀委員ではない。人物は同じ、それだけは同じ。それ以外は能力も精神力も身体能力も別人のような成長を遂げていることに気づく。
勝てない。
男はそう自覚した。今の自分では──一年前とまったく同じで成長などできていない自分では、この娘には勝てないことを。
そのままうな垂れた男は──ポケットにしまってあったビー球サイズの鉄球をおもむろに、黒子とはまったく逆の方向に投げ出した。
「!」
自分に能力が来ると確信していた黒子は、まったく逆の方向へと向けられた能力の牙に一瞬、本当に一瞬、反応が遅れる。
まったく同じ速度で進む鉄球はある一点に進んでいた。
そこには──。
「類人猿!!」
泣きじゃくっていた少女にパペットを渡す、あの類人猿の姿があった。
まったく同じ速度で、銀行の防弾シャッターを軽々と貫く鉄球が、上条の背中に襲いかかろうとする。
対してそれに気づいた上条が取った行動は簡単なものだった。
振り向き、右手を突き出す。
その右手に鉄球が触れた瞬間、能力を解くかそれ自身が壊れるまでは止まらないはずの鉄球は、防弾シャッターすら破壊可能なはずの鉄球は。
右手に触れた瞬間、いとも簡単に重力によって地面に落ちる。
そして、それを見て唖然とする絶対等速の男を黒子が取り押えるのは、ほぼ同時だった。
「器物損害および強盗、そして暴行未遂の現行犯で……拘束します」
その言葉は同
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