第六話「レストラン・パニック」
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行で3時間程前に銀行強盗が行われている。
「恐らく金を奪うことには成功したけど、逃走に失敗して、ここに逃げ込んできたのか……!」
「迷惑にもほどがあるな」
オティヌスの言っていることは恐らくここにいる被害者全員の総意だろう。楽しい時間を遊園地に逃げ込んできた銀行強盗にぶち壊されるとは。
「とりあえずここを離れよう。彼女たちも心配だが、我々の身の安全の確保が先だ」
令音に言われて、その場から離れようとする士道一行。人質となった女性を助けたいと思う気持ちはあるが、この場で精霊の力など振るうことなどできない。仕方ないが、結局は赤の他人で、しかも自分たちはこの都市の住人ですらない。あとは風紀委員や警備員がうまくやりくりしてくれるだろう。
しかし、士道一行はその場から離れることができなかった。
「……し、……しどう……さん」
「?どうした?四糸乃……!」
急に自分にしがみついてきた四糸乃のことを見た士道は戦慄する。目に涙を浮かべ、体をふるふる震える四糸乃の左手にはあるはずの──よしのんの姿が無かったのである。
3,
「まさか…………ッ!」
事態に気づいたのは士道だけでは無かった。よしのんが四糸乃の手から離れたことに気づいた琴里や令音も目を動かし──よしのんの姿を見つける。
よしのんはテラス席の、士道たちが座っていたテーブルのすぐ近くに転がっていた。大方、先ほどの人の波の所為で四糸乃の手から離れてしまったのだろう。
「あ…………あ…………よ、よしの……ん……」
「む?四糸乃!大丈夫か!?」
「ちょっとどうしたのよ四糸乃!?顔が真っ青なんだけど!」
今は何とか耐えているようだが精神が不安定になっているのは十香や七罪たちにも目に見えていた。このままではいつ暴走するかわからない。
「ぐっ……」
咄嗟に取りに行こうとした自分を士道は自制する。今不用意に動けば、店内に籠っている強盗も刺激しかねない。強盗たちが外から丸見えなように、テラス席は強盗に丸見えなのだ。最悪、自分の身だけでなく人質の身も危険となる。
「──まずいぞ」
令音の声に反応して横へ振り向く、四糸乃がガタガタと震え出していた。間違いなく限界だ。なんとか四糸乃を鎮めなければ、そう思い士道が口を開こうとして──それよりも先に口を開いた人物がいた。
「おい?大丈夫か?」
上条だ。部外者の上条から見ても四糸乃の状態はとても「普通」とは言えない。何も知らない者から見れば発作か何かの病気にも見えた。
「よっ、よしのん…………」
「ん?…………あ、なるほど。あれか」
だが四糸乃の呻き声と、彼女が持っていたパペットが無いことに気づ
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