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僕の周りには変わり種が多い
横浜騒乱編
第21話 特殊鑑別所
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纏衣の迷宮』は、イデア……サイオン次元の世界にある僕自身の情報を、現実世界と複数結びつける術だが、サイオン次元の世界にある情報というのは、時間の概念があいまいだ。達也はサイオン次元の情報を過去へさかのぼって視る能力があるように、僕には、プシオン次元を経由してサイオン次元の情報の中でも未来の情報と結び付けている。

つまりこの術は、先の未来を知っている自分が来るので、問題なければ、それぞれいる位置から、所定の場所に移動する。問題があれば、所定の位置につかないので、『纏衣の迷宮』を解き、普通の幻術に変更して、とっとと逃げ出すのが、この術の運用方法だ。

そして、勝ったからといっても、油断はできない。もしかしたら、僕自身が過去となった僕に呼び出されるかもしれない。その時に異なる行動をとれば、その呼ばれた過去で、僕自身の死が待ち受けているかもしれない。なので『纏衣の迷宮』で呼び出した未来の自分の動きを把握して、どこに呼ばれても、その通りに動けるようにしないといけない。また、他に呼ばれた3人が異なる動きをした場合に、全体の動きが変わってしまうということまで考えておく必要がある。なので、型の練習を重視し、実践では型からずれた動きの部分を把握する必要がある。

つまりこの術は、今の自分の未来は不定であり、過去の自分から呼び出されたからといって、同じになるとは限らないというタイム・パラドックスを含んだものであり、過去の経験上、呼び出した相手と話し合ったところ、『纏衣の迷宮』が終わらせてから1分が経過したころまで、油断はできない。『纏衣の迷宮』で勝った場合は、この術を終わらせた1分間は、周りから邪魔が入らないように、結界をはり続けて、呼び出されないか待つことにしている。ちなみに、僕はいまだに過去の自分に呼び出されたことはないが、緊張感はたもっておく。

そうして、1分が過ぎたと感じたところで、結界を解いた。



結界から離れて視ていた真由美、摩利、達也からは、結界をはったあとの陸名翔の姿しか見えない。それが2歩下がったあとで、1分少々たったころに結界を外れたあとは、そのままの本人と、倒れているリユウカンフウが見受けられただけだった。



七草先輩はほっとした視線だが、渡辺先輩からは冷たい視線、達也はあきれている中、結界を解いたほぼ直後にきたのは、警備員。倒れているリユウカンフウを運んでいく準備をしていたので、4人で出ましょうとアイコンタクトを取り合って、その場を去った。そのまま、その場を去れたのは、やはり十師族の一員である七草先輩がいたからだろう。

鑑別所のゲートを出てから、冷たい視線の渡辺先輩が

「陸名くん。いくら接近戦が得意だからだといって、相手は鋼気功のリユウカンフウだったんだぞ。まったく無事だったからよかったものだが」

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