暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第12話 「お茶目なシュテル?」
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超高速移動のレヴィを高魔力のボールで追いかけ続けることで、高町の魔力はみるみる減少していく。それは目に見える形で現れ、高町はどことなくふらつき始める。このゲームにおいて魔力は精神力でもあるため、枯渇すれば気絶してしまう。
「それなら!」
今は当てることができないと判断したのか、ボールは急遽レヴィから向きを変えてディアーチェに飛んで行った。しかし、ディアーチェは動こうとはせずに指1本で高町の剛速球を受け止めた。止められた高町が驚愕の表情を浮かべたのは言うまでもない。
「悪魔の門より来よ闇の宵風……返礼だ」
詠唱のとおり、闇に飲まれたボールは悪魔のような門から射出されて高町に襲い掛かる。俺の記憶が正しければ、確か《デモンゲイト》と呼ばれる魔法だったはずだ。
直撃を受けた高町は凄まじい勢いでコース外まで飛んでいき、盛大に起きた爆発に巻き込まれた。場所を移動していなければ巻き添えになっていたかもしれない。彼女を心配したチームメイト達は急いで駆け寄って行く。
『シュテル、DMSとの全開勝負なんて初心者のなのは達にはまだ荷が重いよ。いきなりこんな差のある勝負なんてしちゃったら……!』
フェイト、高町を心配する気持ちは分かるが今の君は解説のはずだろ。それと……シュテル、お前はうんざりとしたような顔をするな。その顔よりはまだ無表情のほうがマシだ。
「黒ひよこ、貴様は自分の仕事を続けよ」
『でも!』
「もう一度言う。よくモニターを見て仕事を続けよ」
ディアーチェの言葉にフェイトの意識は再度高町のほうに向いた。そこには、コース外には飛ばされたもののしっかりとボールをキャッチしている彼女の姿がある。フェイトに気が付いた彼女は、大丈夫と言わんばかりに拳を突き出してアピールをした。その後、元気にバックスに移動し始める。
「過保護にするだけでは雛鳥の成長を妨げるだけ……ということです」
『私はただ……みんなのことが心配で』
「過保護・過干渉は煙たがれますよ」
……シュテル、お前フェイトに何かあるのか。さっきから妙に冷たいというか、言動がひどいように思うんだが。
というか、何でフェイトと会話しているのに俺の髪を触ったり、頬を引っ張ったりしてたんだ。いやまぁ何となく分かるけど、暇だからって人で遊ぶなよ。NPCとは違うんだから。
「向かい風の中でしか見えない景色もある。その景色の中で羽ばたく彼女達の姿を私は見てみたい……」
「……ショウ、あなたはエスパーですか?」
「いや、こういうときのお前の内心は割りと分かるから。それより、いい加減俺で遊ぶのやめろ。これ以上やるならさすがに怒るぞ」
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