暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第12話 「お茶目なシュテル?」
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よ!』

 フェイトはともかくアリシア……お前も真面目にやるつもりないだろ。シュテルに対抗意識燃やしてるみたいだし。
 時間が止まったかのように沈黙が流れ始めたので。俺はそっとシュテルを引き剥がすとボールを持っていた高町に話しかけた。

「あー高町」
「え、あっ、はい」
「こっちから言うのもおかしいんだが、続きやっていいぞ」
「あぁ、はい。……それじゃあ、高町なのは行きます!」

 言い終わるのと同時に大量の魔力をボールに込める高町。その魔力量に俺を含めた経験者組は内心驚いたことだろう。
 豪火力で鉄壁のセイクリッドに加え、飛行のセンス、それにあの魔力量か。潜在的な能力だけで言えば、隣にいる全国1位さんよりも上かもな。こいつはそんなに魔力が多いわけじゃないし。可能な限り無駄をなくすことで鉄壁と火力を得てる技巧派タイプだから。

『なのは、あんまり込めすぎると……!』
「妹氏、あなたは解説であってセコンドではないはずですが?」
『フェイト、シュテルの言うとおりだよ。さすがにずるっこ』

 シュテルとアリシアの言葉に肩を落とすフェイト。ただ今回ばかりはふたりのほうが正しいので、彼女にフォローの言葉を掛けてしてやることはできない。
 そうしている間にも高町は魔力を込め続け、その込められた魔力量にヴィータは驚きの声を上げている。ただこちらの内野はというと――

「なにょはってもしかしてシュテるんとおんなじ?」
「うむ、魔力集束の技術があるようだな」

 ――ただただ現実を直視しているようだ。だが身構える様子はない。先ほどまでは油断があったかもしれないが、今のディアーチェ達はどの程度かは分からないが、多少なりとも本気になっている。シュテルのときのようなことは起こらないだろう。

「それじゃ……行くよ、せーの!」
「お、ボクか……よっ、甘い甘〜い!」

 高町が放ったアクセルシュートは初心者とは思えない速度と誘導性のある玉だが、レヴィは機動性に優れたライトニングタイプ。それに全国で一桁に入る実力の持ち主だ。実況では紙一重で避けていると言っているが、本人からすれば余裕だろう。顔も笑っていることだし。
 今のままでは当たらないと思ったのか、高町はさらにボールを加速させた。それにはさすがのレヴィも驚いたようだが、直後には強気な表情が浮かんでいた。

「そんじゃボクも凄いのやっちゃうもんね!」

 ボールが当たる直前、レヴィの姿が消える。いや正確には消えたのように見えたというべきだろう。彼女は《スプライトムーブ》と呼ばれるスキルを発動させ、残像が見えるほどの高速で移動している。
 今のレヴィに攻撃を当てるのはシュテルやディアーチェでも難しいだろうな。俺も動きは何とか追えるけど、防御はともかく反撃は厳しいし。

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