マブラヴ
0892話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
山百合女子衛士訓練学校の教室、その一室の教壇の前に俺と恭子は立っていた。
そして真田と名乗った教官と、その副官……いや、この場合は副担任か? ともあれ、その女もまた教壇の前に立っている。
ただし教室とは言っても麻帆良にあったような典型的な教室ではなく、どちらかと言えば大学の教室のような配置の教室だ。
この辺、恐らく斯衛……つまり武家の子供が通う訓練校だからこそなのだろう。
いや、実は訓練校が全部こんな形式なのかもしれないが。
ともあれ、教壇の前に立った俺達を見て生徒がざわめく。
その殆どが恭子に視線を向けている辺り、さすが五摂家の1つといったところだろう。
……何気に、何人かは俺の方にも視線を向けている者もいるが。
俺に視線を向けている中で一番気になるのは、教師の後ろの方にいる女だな。癖の無い黒髪のロングヘアーの女。他の者達の視線には好奇心が多く含まれているのに対し、その女だけは自らの感情をコントロールして冷静に俺に視線を向けている。
そんな風に思っていると、教室の一角に見覚えのある顔を見つける。俺と恭子を案内してくれた人物で、確か恭子にとっても妹分のような扱いの女だ。
F-4J改の開発者の娘だったか。
すると、向こうでも自分が見られているのに気が付いたのだろう。恭子から俺に視線を向け、小さく頭を下げてくる。
「お前等静かにしろ! 今日はこのお二人から講演をして貰う事になっている。片方は崇宰家の方で崇宰恭子様。鬼姫との異名を持つ凄腕の衛士だ。そしてもうお一方は異世界からこの世界にやってきたシャドウミラーの代表、アクセル・アルマー殿だ。特にアクセル代表が人類で初めてハイヴを攻略した事もあるのは、言うまでもないな。皆、心して講演を聴くように。……アクセル代表、お願いします」
どうやら俺かららしい。
小さく頷き、この世界のコンピュータで読み込めるように保存してある記憶媒体を空間倉庫から取り出す。もっとも、ここでまた騒がれるのは面倒なのでポケットから出したように誤魔化してだが。
「ハイヴ攻略の映像データが入っているから、これを流してくれ」
「……よろしいので?」
そのデータがどれ程貴重な物なのかを知っているのだろう。念の為とばかりに聞いてきたのに頷きを返す。
それを見て早速とばかりに機械の方に移動したのを見ながら、生徒達へと向かって言葉を掛ける。
「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。今回は恭子の……」
そこまで口にした途端、ざわめく教室。
ああ、そうか。崇宰家のご令嬢を名前で呼び捨てにしていれば、日本ではこうなるのも当然か。
とは言ってもこれ以上騒がれるのも面倒くさいし、その辺はスルーして言葉を続ける。
「恭子からの要望で俺達が鉄原ハイヴを攻略した
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ