≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
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ビルド嗜好は確かに存在するが、一点を除いてオーソドックス型に劣る。ついでに言うならその一点はロマンだ。はて、メントレはロマンチストなのだろうか。
「魔法ってどんなのが使えるのかしら?」
同じようなことを思ったのか、アイがメントレに向かって訊く。
「あー、もしかして魔法の力を疑ってますか? 疑ってるんですか? いいでしょう! ここは信頼と安心の為、一発だけお披露目しましょうか!」
そう言うと、メントレは崖際まで歩み寄って下を覗きこんだ。そしてブツブツと何かの文言を唱え始める。
「偉大なる火焔、それ文明の証、それ進化の兆し、そして爛れの病ッ! 焼き燃やし灰を生め! 咲け! 『灰焔花』ッ!!」
金色の杖から赤色の炎の花が飛び出し、崖下にゆったりと自転しながら降りて行った。ふわふわしたような軌道でその火の花は、下でぼーと呆けていた枯れ木のモンスターに直撃した。と認識した瞬間、ぶわぁぁと炎が燃え上がり、かなりの速度で周囲へと燃え広がった。
「あ、やばっ」
メントレの言葉に一瞬ゾッとしたが、メントレが杖で地面を突くと、ぼおぼお燃えていた炎は消えたように鎮火し、居た筈のモンスターも跡形もなく消えていた。その光景に驚きと感心を馳せながら、ひとつ浮き出た疑問を投げてみた。
「メントレ、発動には詠唱時間が掛かっても、無効化するのは一瞬なんだな」
「ああ、詠唱も名前以外は破棄できますよ。性能も対して変わりません」
「……」
「でもほら。魔法っぽいでしょ?」
「そうだね……」
結論、メントレ・マジーアはロマンチストだった。つまりは俺と同族だということだ。『類は友を呼ぶ』か『同族嫌悪』か。それは今後に発覚するなのことだろう。様々な期待を込めて、俺はこのクエストを引き受けようと思う。
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