≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
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けられると保証されている。
しかしそう簡単にことは進まない。このクエストの最大の特徴は難易度だ。ワンパーティーの六人でしか挑めないくせに発見から一週間立つの現在も最初の護衛塔すらクリアされていない。死者こそでないものの攻略情報は皆無なのだ。情報屋ですらこの攻略情報の無さには参っているらしい。なんと言っても未だ一本目の護衛塔の一階すら突破されたことが無いのだから。
記憶が定かなら、このクエストは風土両陣営に点在する竜人の近衛兵にて受注できる筈だ。まさかメントレがそのクエストのフラグNPCだとは思えない。
「メントレ、君はそんな怖ろしい場所に何か用でもあるのか?」
と尋ねた瞬間、頭の上の【!】マークがクエスト進行中の【?】マークへと変わった。そしてメントレの口から俺にとって聞きたくない言葉が出てきた。
「シィー、現在発注されているクエストようにあの墓塔に用がありまして! 最終的に巨塔の頂上まで行きたいのですが……よろしければ手伝ってくれないでしょうか?」
「ああ、わかった」
俺の返答に呼応するように、素早く三つの電子的な鈴の音が響く。そうすると俺の手元にメニューウインドウが出てくる。そのクエストの項目を指で触れ、新たに出た小ウィンドウの中を読み解くと。
「……なんてこった。やっぱり≪煉瓦と晩秋≫かぁ」
「どういうこと? 竜人だけじゃなかったのかしら。例外にしても伏線すらないのはこの層にしては奇妙ね」
「確かに、私も初めて聞く情報だ。南の町に何か情報があるのかもしれない」
ポツポツ漏れるプレイヤー達の呟きにメントレはやや首を傾げながらも、律儀にクエストの解説を始める。
「目的は巨塔の上にいる竜ミシャの討伐ですが、そのためには二つの護衛塔のてっぺんにある防衛装置を破壊しなければなりません。そうしないで巨塔に入ろうとすると謎の投石物で潰れます。そういえば、ふふ、実際に潰された冒険者もいましたね!」
その冒険者というのは覚えがある。大きな石を転がして埋まったとある彼女を救出するのには骨が折れた。アイが微妙な顔をして、メントレは面白げに言葉を続ける。
「なんでも、その冒険者は下半身だけ潰れていて救助されるまで一時間ぐらい上半身で暴れて助けを求めていたそうですよ! こう言うのは不謹慎なんですが冒険者の失敗談は良い笑い話になりますよね!」
「俺もそう思うよ」
「……」
俺の賛同の声に睨みつける眼差しが一つ。
「悪い悪い。……と、そうだな。本題はこのクエスト引き受けたわけだがどうするべきかだな」
問題はその点だ。三大鬼畜クエストと言われるだけあって現在の≪煉瓦と晩秋≫への一般認識はクリア不可、だった筈だ。俺はそんなクエストに挑む無謀さはたくさん持っているが
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