≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
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。『ボン・ジョルノ』はイタリア語だった筈だから、メントレ・マジーアもイタリア語だろうか。
「マジーアってのは魔法使いって意味かい?」
「シィー、魔女じゃありませんよ! 魔法使いです!」
「そ、そうなんだ。じゃあ俺の自己紹介だな。俺の名前はスバル。軍曹をしている」
この発言に対してアイが小声で突っ込んだ。
「ス、スバル? それはちょっとややこしくなりそうなんだけど」
「大丈夫だろきっと。こっちの濃紺色の女性がインディゴ。あっちの紅白ナイトがヒースクリフ」
この発言に対してはヒースクリフが突っ込んだ。
「スバルくん。君は語彙力に欠けるようだね。もっと良い呼び方があっただろう。紅白と言えど白色はマントと武器だけだ」
「それを言うなら赤いのは鎧だけじゃないか……」
変なところにこだわりを持っていたようだ。珍妙な自己紹介を終え、少しの間の沈黙のあと、アイが屈んでメントレと視線を合わせながら尋ねた。
「貴方はいったいどうして木の上に居たの?」
「ハイ! 実はあの墓塔を見ていたんです!」
「墓塔?」
アイの疑問符にヒースクリフが横から答える。
「恐らくガルーア墓塔のことだろう。先代、風の竜の王の遺骨が収められていると伝えられている、大きな塔だ」
ガルーア墓塔というのは俺も聞いたことがある。そしてそれが意味するのはかなり特殊だ。
「……三大鬼畜クエストのひとつの会場だな。第三十三層のラストクエストと噂されている、例のヤツ」
三大鬼畜クエストがひとつ、≪煉瓦の双椀、晩秋の枯風≫。風の先代王の最後を称えて建築された巨塔を舞台にしたクエストなのだが、クエスト背景は其処に居座る竜を退治しろ、というものでその竜は話によると風の竜王の次男、ミシャ、という竜らしい。このミシャは――第三十三層勉強会で判明したことなのだが――以前の大戦争の原因を起こした不法占領の竜なのだ。大地が浮いた日の後、ミシャはその時の因縁で現・土の竜王から暗殺を謀られたものの命からがらで逃げ切り、何を勘違いしたのか風側の仕業かと思い込んで(もともと風の兄弟の仲が悪かったらしいので順当な判断かもしれないが)不敬を承知で巨塔に立て篭もり、さらには周囲に巨塔を守る二つの護衛の塔を建てたという。
このクエストは風と土の両国からの要請でのクエストで、現竜王たち直々の依頼なのだ。どうも土と風両陣営は今なお緊張関係を擁しており、その原因がこのミシャということらしい。こう言うのもなんだが、政治的に高度な存在になりすぎたというヤツだ。二国としてもその関係を解消するためにミシャ討伐にて区切りをつけたいということだろう。そのためにこのクエストの完遂には両国から大量の恩赦を受
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