≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
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いくらでも我慢できるのだが外傷による痛みは我慢できないのは何故だろう。過労死するまでゲームできるけど足が攣ったらゲームを中断する感じと言えばなんとなくしっくりくる。
戦闘中ならシステムだから仕方ないと思い込むことによって覚悟が出来ているから多少の痛みは我慢できるのだが、今回は不意に走った痛みに覚悟が出来なかったという不甲斐ない理由から醜態を晒してしまった。鎖骨辺り未だヒリヒリする。ヒースクリフが珍しいやや引き攣った表情で言葉を投げた。
「本当に習得する人物がいるとは……。その機能は武術を修めた者に向いていると思っていたのだが、スバルくんこそ何か格闘技でも嗜んでいたのではないか?」
「いやいや、ゲームしか極めたことは無いな。というか、そんなことよりもさ」
俺は話を区切り、転がっている金色の少女へと歩いていった。膝で屈んで少女の頬をつついた。反応が無い。どうやら完全に伸びているようだ。そこまでして、俺は初めてこのNPCの頭の上に【!】マークが点灯していることに気がついた。俺の後ろでアイとヒースクリフの声が上がった。
「ねぇ、このNPC、フラグ持ちだわ。やっぱりキャンペーンクエストかしら?」
「ふむ、そろそろ起きそうだ。そのことも直ぐに分かるだろう」
ヒースクリフがそう言った頃、魔法少女が目を覚ました。魔法少女は横になったままパチリと大きな小麦色の瞳を瞬かせキョロキョロと周囲に目を配り、少女特有の幼さ残る声音で、あたふたした驚愕交じりの甲高い声を上げた。
「ええっ!? 何! どったのッ!? 誰! どっからッ!?」
これまた濃そうな口調なことで……。と俺が思った直後、金色少女は長い杖――武器なのだろう――を胸に抱え込んだ。抱え込んだ武器が意味するのは十中八九で≪警戒≫に間違いないだろう。だが、相手はNPCだ。落ち着いた口調で話しかけてみる。
「落ち着いて。君はあの木から落ちたんだよ。そして二つ目の質問だけど、俺たちはたまたま通りすがっただけなんだ」
少々違うような気もするが嘘はついていない。木から落ちたは真実だし、ヒースクリフは兎も角、俺たちことスバルとアイのペアには別に目的地があるから通りすがりという表現も間違いではない。金色少女がやや落ち着いて、感謝の言葉を述べた。
「あっそうなんですか。それはどうも、なんかすいません……というか、ありがとう?」
「お、おう、どういたしまして?」
「そうだっ! 自己紹介しますね! ボン・ジョルノー! アタシの名前はメントレ。メントレ・マジーア! 魔法使いです!」
その切り替えの早さに少々の驚きを感じたが、魔法使いという言葉が耳に入り意識はそちらに移った。
これで確定的に件の魔法少女だろう。それにしてもメントレとは英語ではないな
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