≪アインクラッド篇≫
第三十三層 ゼンマイを孕んだ魔女
秋風のコガネ色 その弐
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くまで潜る以上それは当然か。ヒースクリフが思い出したかのように答えた。
「ああ、君たちはスバルくんにインディゴくん、だったね。こんな僻地に何の用だ?」
「此処に用というよりも、南方探検隊というのが適切かな。南にあるらしい村を探しに出ようと思っていたんだ……が、インディゴが索敵スキルで不自然なモンスターの消失を見つけたんで謎を解明しに来た。さっき此処にモンスターが三体いただろ?」
ヒースクリフは大した反応を示さず、悠然と「ああ」と答えた。その後、崖側に目を遣り言葉を続ける。
「その三体のうち二体なら崖下に居る。少々手に余るから突き落とした」
「突き落とした……ああ。インディゴ、確か君の索敵範囲は五十メートルちょっとだよな? そんで索敵スキルの範囲は円形、だったな」
インディゴことアイが頷く。やはり、いやどちらにしても相当なスゴ技には違いないのだが。俺はヒースクリフを見据えて言葉を続けた。
「二匹をファーストコンタクトで突き落として、最後の一匹を大技ソードスキルで屠った? 不可能とは言わないが三秒でやるとは流石というかなんというか……」
「不可能でないのならば総じて出来るものだ」
「知ってるけどさ」
知ってるけども、そういった技術を磨くのは無茶苦茶な練習が必要だ。特にソードスキルも使わずに剣もしくは盾で敵を吹き飛ばす技術となると現世で格闘技でも嗜んでいないと無理ではなかろうか、いやそれも敵にもよるだろう。
そう思いヒースクリフの横を通って崖下を覗き込むと、五十メートル下の風の大地には、頭部から無数の枝の生えた大きな枯れ木のモンスターがいた。あのタイプは枝の数だけ体重と防御力が上がるやつじゃないだろうか。あの数だと百キログラムぐらいかな。
「ヒースクリフ、君は前世では太極拳とかの師範代だったのかな?」
「まさか」
肩を竦ませながらの簡素な返答にどのような意味が込められているのだろうか。『「まさか」そんな訳無いだろう』、もしくは、『「まさか」見破られるとはな』、このどちらかだろう。いやだからどうしたというわけだが。
そんなことを考えていると、アイが周囲を見回しながら声を上げた。
「それもそうだけど、索敵に反応したNPCが見当たらないわね」
そう言われて辺りを見回してみると、確かに居ない。あるのは紅葉ばかりだ。正確にはヒースクリフ、俺ことスバル、アイことインディゴと環境の赤と黄の木々が居るだけだ。そこで俺はヒースクリフに尋ねてみた。
「ヒースクリフ、此処にNPCは居たか?」
「いや、見ていない。だが索敵スキルだとあの辺りを指している」
ヒースクリフのすらりとした指が一本の木の方角を指した。その木は大木で、紅葉の中に緑の葉が多く茂っていた。さきのこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ