1話
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、ほんとに?」
「ああ。まあ、会うことがあるかどうかは分からないけどさ」
「あー、そうだよねー。麻帆良ってめっちゃ大きいもん」
学園と、研究所含むその関連施設で七割を占める都市。生徒数も教師数も、そして校舎数も相応に存在する。そこから、彼女のいる学校にピンポイントに赴任する確率は……控えめに言っても、あまり高くない。
「どこに赴任するの?」
「ここに来るって決まった時、ちょっとごたごたしててね。実はまだ聞いてないんだ。これから学園長の所に行くんだけど……その前に、家を見つけるのが先かな」
「家を……? じゃあ本当に来たばかりなの?」
「ついさっき麻帆良についたばかりだ」
くくく、と首を倒しながら聞いてくる少女。一つ一つの仕草が細かく、そして妙にかわいらしい。しばらく、頭を傾け、唇に指を置いたまま考える。何を思いついたのか、ぽんと手を叩くと目を輝かせた。
「じゃあ私が教員寮まで案内してあげるよ! ちょうどおとーさんに会おうとと思ってたしね」
「お父さん?」
「うん、私のおとーさん、麻帆良大学の教授してるんだ。だから道もよく知ってるよ! ほら早く早く」
と、手を取って強引に引っ張ろうとする。
「おっと……待って待って! 俺は一軒家だから、寮住まいじゃないんだ」
「え、そうなの?」
ぴたり、引きずろうとしていた彼女の足が止まる。首半分だけ士郎を向いて、きょとんとしていた。その間も、手は掴んだままである。無防備すぎる少女の将来が、ちょっと心配になった。
いきなり、少女は何かに気がついた。はっとして一歩下がり、しかし握る手を離すまいと、握力が増す。なぜか瞳を輝かせ、期待の視線を送ってくる。
「もしかして、お金持ちだったり!?」
「全然違うよ……」
純真で太陽のようだと思っていた女の子は、以外と打算的でした。
自分と知り合う女の子は、必ずどこかおかしい。人生の理不尽を感じて、頭を抱えた。しかし、それを『知り合いの女の子』達が知ったらこう言うだろう。お前が言うな、と。
「そうだな、ええと……何て言えばいいんだろう……?」
頭の中で言葉を探す。いざ裏関連をぼかして事情を話すとなると、上手く説明できる気がしない。相手が大人であれば、事情があるから、の一言で流してくれるのだが。
ちらりと、横目で少女を見る。噂好きなのか何かか、妙に期待の籠もった目つきだ。いい加減な言葉でごまかそうとすると、逆に追求してきそうではあった。僅かに頭を悩ませたが、すぐに思考を放棄する。上手い事を考えつくとは思えなかったし、通用する嘘をつく自信も無い。
「麻帆良に前に俺が所属してる所の家があるんだ。今まで住んでた人がいなくなるから、代わりに管理を任されたんだよ」
結局、ほぼ本当の事を
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