1話
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た広さのない部屋で荒れ狂った。それだけを音と振動で得る。
高性能爆弾でも使ったかのような爆発力。空間の揺り返しに呼応した、超圧力の魔力渦。音だけでも、体をきしませた。これを防げたのは、ひとえに風王結界のおかげだ。術者の思い通りに変化し、隙間無くしき詰まるのは、通常の防具では不可能。もし士郎の投影魔術で防いでいたら、体がばらばらに吹き飛んでいた。
刹那の爆発から、後の無事を確認するまでおよそ十数秒。しかし、その僅かな時間は、今日一番長く感じられた。爆発が起きた方向に注意を向けつつ、頭を持ち上げる。セイバーがちょうど、宝具をしまう所だった。
「怪我はありませんか?」
「ああ、セイバーのおかげで」
「私も問題ありません」
石造りの壁面は、衝撃に思い切り歪んでいた。工房のあるこの場所も、地下ずいぶん深い場所の筈なのだが。それを内側から押しつけて半壊させるとは、どれだけの威力だったのか。
「結界は……正常に機能してるな。よかった」
「間一髪でした」
暴力的な量の魔力は、しっかりと結界内で止まっている。普通の魔術師であれば、満ちた魔力の量に喜ぶのかも知れないのだが。士郎にとっては、半壊した部屋をどうするか、今から頭が痛かった。
とにかく、唐突で何も分からなかったが。二度とこんな現象を起こさないためにも、すぐにでも原因を究明しなければならない。次同じ事が起きれば、今度は結界が耐えられないだろう。
爆発跡地を見て、ふと気付く。そこに、何かが転がっていた。いや、何かでは無い。人が転がっていた。もっと詳しく言えば、女性が転がっていた。さらに細かく分類すると、少女が転がっていた。
もうつまらなく迂遠な物言いはいいだろう。そこには、遠坂凛がいた。
――恐らく、五年ほど昔だと思える、遠坂凛が。
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