暁 〜小説投稿サイト〜
とある緋弾のソードアート・ライブ
第五話「士織ちゃんの受難」
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の女性がものすごい勢いで部屋を飛び出て行った。先ほどといい、精霊である十香達も唖然とするものすごいスピードだ。

 と、十秒もせずに、部屋に戻ってきた。戻ってきたのだが。そこには一つ違う点が。

「…………ぁあれ?」

 もしかして自分はものすごい思い違いをしていたのではないか。自分が選択したそれは、もしかしたら途方なく悪手なものだったではないのか。なんて考え出す士道。頭の中に警戒音が鳴るというのはこういうことなのだろう。

 女性が先ほどと違う点──それは彼女が先ほどは無かったドレスを手に持っているからである。

「あ、あの…………それは?」

 恐る恐る尋ねる。どうかこの嫌な予感が的中しないで欲しい。これを自分が着る、などという予感など、当たるわけがない。そう思いたい。

 しかし現実は無情だった。

「やだなぁ!君がこのコンテストで着る衣装だよー!私の五日間徹夜の自信作!」

 死刑宣告とは、なにも首吊りや電気椅子だけではない。精神的に大きなダメージを負わせるものも充分に該当するだろう。

「…………あ、あの」
「──やはりこのことを知らずに了諾したのか」

 少し涙目で顔を向ける士道に、女性は半分呆れ気味に応えた。

「うちのは少し特殊でね……このイベントでは毎日、誰か一人でも女装のお客さんを出すことになっているんだ」
「そ、それって……」
「このイベントの特別枠とは、ようは女装枠のことだよ」

 途端に横から異様な視線を感じ、身震いする士道。

「み、美九?目が怖いぞ……」
「また士織ちゃんが見れるとは……わたしも付いてますねー」

 異様な雰囲気を察して動こうとするも、後ろから2人のスタッフに羽交い締めにされる。

「ほらほら移動するよー。ソウちゃんそっち持って」
「あいあい」
「ちょ、ちょっと待ってください!服のサイズとか化粧とかどうするですか!?」
「んー?どっちも学園都市の科学力でどうにでもできるから心配しないでー」
「いや!そこのところを詳しく……」
「安心しなさい。士道君のあられもない姿はちゃんとデジカメに押さえておくから」
「私、家宝にしますー!」
「いやしなくていい──ちょ、待っ、待ってぇぇ!!」

 そのままズルズルと連行されていく士道を見ながら、琴里たち──十香と八舞姉妹はいきなりの展開にキョトンとし、四糸乃はこの事態に少しオロオロとし、よしのんと七罪は士道の不手際に心の中で笑い、美九は高揚した顔をし、琴里呆れかえり果てていた──は席への移動を始めた。

「さ、士道の勇姿を見に行くわよー」

 後は言わなくても舞台裏にいる美少女までのプロセスは分かるだろう。

 ──かくして、学園都市に謎の美少女「五河士織」が初上陸したのである
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