第五話「士織ちゃんの受難」
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で状況が読めずきょろきょろと視線を周囲に巡らせる士道。
「はいレッツゴー!!」
そして女性は小脇に士道を抱え、そのまま駆け出す。
「え、あ、ちょ!?」
「だ、だりーん!?」
状況が飲み込めないまま攫われる士道。美九もそれは同じで呆然と士道が攫われるのを見ることしかできなかった。みるみる美九の姿が遠ざかっていく。
「──貴様!シドーをどうする気だ!!」
「十香!」
と、そのまま疾る女性の前に足止めするかのように立ち塞がる影があった。十香だ。どうやら事を察知し、引き返して士道奪還のため駆けつけたらしい。
ヒールを履いてるにも関わらず音も無く、とにかくものすごい速さで向かってくる女性から士道を取り戻そうと構える十香。だが──
「あ、ついでにゲット」
気がつけばスライディングしながら──滑り込むように十香は脇に抱えられ、そのまま士道と同じくように連れ去られていた。
「なっ……」
(な、なんという機動力……!)
人知を超えた存在である精霊の十香ですら奇声を上げたそれに反応することができなかった。精霊以上の恐るべき機動力だ。
「あーさっきの子も捕まえてくればよかったけど……ま、いっか」
「このっ……!おい離せ!くそ!」
「ちょ、なんなんだよあんた!って力強いな!」
小脇に抱えられた2人は必死にもがくものの、まるで脱出できそうにない。思春期の男子でそれなりに力もある士道はおろか、十香ですら何もできない始末である。
後ろを振り向けば琴里や他のメンバー達が必死にこちらを追いかけている姿が見える。しかしあまりに女性が速いため、その距離はみるみる開くばかりである。
「こ…………のっ!」
「待て十香!鏖殺公はやめろ!シャレにならん!」
「だが…………!」
天使を使おうとする十香を慌てて止める。ここがいくら自分たちの住む街とは違うとはいえ、天使なぞを人に使えば、ややこしいことになるのは目に見えている。
その様子を遠目に見ていた琴里は小さく舌打ちするとポケットから携帯電話を取り出し、緊急のコールをする。
相手はもちろん、琴里たちの上空で待機している、フラクシナスだ。
「神無月、見てる?」
『はい司令』
「なら説明しなくても分かるわね。どんな手を使ってもいいわ。あの女を足止めしなさい──」
こうなればなりふりは構ってられない。もしかしたらあの女性は士道と十香の「力」のことを知ってあの行動を起こしているのかもしれない。そうなれば──
と電話で指示を出していた琴里だったが、ふと、ある物に気づく。
ミーン・ストリートに並ぶ商店街の屋根の上
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