第五話「士織ちゃんの受難」
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半かそれ以下の少年、いわゆる「ショタ」だが、10代後半からそれ以上の年齢の「男の娘」も、もちろん存在する。人によってその判断基準は様々だろう。
昨今の妄想力逞しいオタク達によって生み出されたこの言葉だが、意外にもその起源は古い。有名な物では日本最古の歴史書である「古事記」に記された英雄、日本武尊による熊襲武尊兄弟の暗殺劇がある。
古事記によると景行天皇の皇子である彼──もしくは彼のモデルとなった人物──は、女装し、宴会をおこなっていた熊襲兄弟の寝所に忍び込み、そのまま色仕掛けでこの2人と接触。そして油断した2人を隠し持った武器で討ち取ったのである。その際に「タケル」の名を熊襲兄弟の弟の方、タケルより献上されたと記述されている。
他にも日本には武蔵坊弁慶を討ち取るために女装した牛若丸、南総里見八犬伝の犬塚信乃と犬塚毛野などの例がある。海外の伝記や神話にもその例は尽きないと言えるだろう。
このように女装した美男子「男の娘」という創作のジャンルは古来より世界中に存在していたと言えよう。
★
「──あのー。ちょっと君いい?」
その時だった。士道がそう話しかけられたのは。
声の主を探す為振り返る士道と美九。
そこにいたのは1人の女性。士道より頭一つ高い、令音と同じくらいの年代の女性だ。長い髪を背で無造作に一纏めにしており、その顔にはマンガに出てくるようなグルグルとした模様が浮かんだ、牛乳瓶の底のようなレンズの眼鏡を付けていた。
眼鏡だけではなく、スタッフ用の制服も袖やズボンの丈が明らかに短い。そもそも服がまったく着こなせてない。元は良さそうなのに、こういうのを残念美女というのだろう。
「…………あのー。なんでしょうか」
妙に鼻息の荒いことに引きつつも、律儀に返事をする士道。美九も「こんにちわー」と挨拶をしている。こちらはあまり引いてはいないようだ。
「────いい」
「は?」
眼鏡と伸びた前髪で見えない表情から放たれた言葉に思わず眉を寄せる士道。相変わらず鼻息は荒く、そろそろ警察に連絡されても仕方なさそうな状態だ。いや。学園都市に警察はいないので風紀委員か警備員だが。
「──うん!君なら文句は無いだろう!」
女性はそう言うと周りの誰も反応できない──こういうのを正に「刹那」というのだろう──速さで手を伸ばし、当人、つまり士道が掴まれたことに気づかないほどの微妙な力加減でで士道の両肩を掴んだ。
「へっ」
刹那、女性の小脇に士道は瞬間移動していた。速い。何が起こったのか、自分がいつ地面に平行になったのかも分からなかった。というかまる
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