プロローグ (視点シフト)
後悔 2-(後)
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シルメリアは焦っていた。
これまで相手からのどのような罠や仕掛けにも焦らなかった彼女が焦っている
これはなかなかに緊急事態である。
「 あ、危なかった・・・ 」
これまでに危ないと思った事は何度もあったが今回は違う
自分のコマ(・・・・・)の予想外の行動に焦ったのだ
「 あんなに情緒不安定だったなんて・・・ 前に話した時は普通でしたのに 」
加えて言うなら、先日「 残り少ないですよ 」と伝えたばかりである。それなのにあの衝動的な行動。シルメリアの理解を超えていた。少なからずショックを受けるシルメリア。 ・・・が、不意にこみ上げるこの感情は何なのだろうか?
「 私は・・・この状況さえも楽しめるのかしら? 」
この感情は悔恨か愉悦か、もしくは憤怒、歓喜?
最近、自分の事が分からなくなってきた。『 自分の事は自分が一番知っている 』という者もいるだろうが、本当か? 自分の認識が最も正しいと言い切れるのか?
これまで生きてきた膨大な時間の中で、知識や情報は十分に身についている。が、『 自分 』についての情報など皆無に等しい。それは自分で自分を見ることが出来ないことに起因していると考えている。
他人が自分を見ている時間と、自分が自分を見ている時間はどちらが長いと思う? ・・・答える必要も無いでしょう? あなたはいつも鏡を見ているのかしら?
「 んふふ、面白くなりそうですわね 」
退屈しのぎのつもりが、ここまで愉快な展開になるとは思っていなかった。うれしい誤算だが、早急にやらなければならないことがある
「 とりあえずこの方のパラメータを『 神 』に変更して・・・と 」
『 神化の護符 』とか『 賢者の強欲 』といった稀少カードを惜しげもなく使ってパラメータを書き換えていく。パラメータ書き換えカードによって対象のコマのパラメータが成長した旨のメッセージが表示された
種族が『 人 』から『 神 』に変化しました!!
スキル発動コストが『 0 』になりました!!
性格が『 卑屈 』から『 普通 』に変化しました!!
対人スキルが『 一般 』から『 一般+1 』に変化しました!!
やる気が『 無 』から『 無−1 』に変化しました・・・
「 あら? 何でやる気が無くなったのかしら? 」
そんなことを考えつつも、シルメリアは一安心する。
「 これで大丈夫ですね。 ・・・でもこのことは内緒にしておきましょうか。少しは反省してもらいたいですし・・・ さてさて、今日の晩御飯何にしようかしら? 」
・・・全く脈絡の無いことを一言にまとめた女神様の表情は明るい
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