第4部 誓約の水精霊
第5章 水の精霊
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
在に形を変え……、陽光を受けるとキラキラと七色に……」
そこまでモンモランシーが口にした瞬間、離れた水面が光り出した。
水の精霊が姿を現したのである。
ウルキオラが立っている岸辺から、三十メイルほど離れた水面の下が、眩いばかりに輝いている。
まるでそれ自体が意思を持つかのように、水面がうねうねと蠢いた。
それから餅が膨らむようにして、水面が盛り上がる。
ウルキオラはその様子を見つめている。
まるで見えない手にこねられるようにして、盛り上がった水が様々に形を変える。
巨大なアメーバのようなその姿であった。
確かにキラキラ光っていて綺麗だが……、どちらかというと気持ちが悪い。
湖からモンモランシーの使い魔のカエルがあがってきて、ぴょんぴょん跳ねながら主人の元に戻ってきた。
モンモランシーはしゃがんで手をかざしてカエルを迎えた。
指でカエルの頭を撫でる。
「ありがとう。きちんと連れてきてくれたのね」
モンモランシーは立ち上がると、水の精霊に向けて両手を広げ、口を開いた。
「私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で古き盟約の一員の家系よ。カエルにつけた血に覚えはないかしら。覚えていたら、私たちにわかるやり方と言葉で返事をして頂戴」
水の精霊……、盛り上がった水面が……、見えない手によって粘土がこねられたようにして、ぐねぐねとかたちをとり始める。
その様子をじっと見ていたウルキオラは、驚いた。
水の塊が、モンモランシーそっくりの形になって、にっこりと微笑んだからだ。
それから無表情になって、水の精霊はモンモランシーの問いに答えた。
「覚えている。単なる者よ。貴様の体を流れる液体を、我は覚えている。貴様に最後にあってから、月が五十二回交差した」
「よかった。水の精霊よ、お願いがあるの。あつかましいとは思うけど、あなたの一部を分けてほしいの」
水の精霊はにっこりと笑った。
「笑ってくれたぞ!OKみたいだね!」
ギーシュは大声で叫んだ。
しかし、その口から……、というか、どこから声が出ているのかはわからないが、出てきたセリフはまったく逆だった。
「断る。単なる者よ」
「そんな……」
モンモランシーは目線を地面に落とした。
そんな様子を見て、ウルキオラが前に出た。
「水の精霊とやら」
「ちょっと!ウルキオラ!やめなさいよ!怒らせたらどうするの!」
ウルキオラのあまりにも敬意の籠っていない言葉にモンモランシーは激昂した。
ウルキオラは無視を決め込む。
水の精霊は、ウルキオラをじっと見つめている。
そして、驚愕する。
水
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ