第二話「学園都市バスツアー」
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く、目をランランと輝かせて丸の内駅舎を見入っている。
「お、おっきいです…」
『すっごいねー』
「ほぅ。中々良い建物ではないか」
「同感。まるでこの前やったゲームのダンジョンのようです」
「へー。こんな建物もあるのね」
思い思いの感想を彼女たちがあげていく中、士道は別の場所へと目をやっていた。
「ん?どうしたのよ士道君。可愛い女の子でもいた?」
「いや。そういうわけじゃないんだけど──」
士道が一行とは別の場所を見ているのに気づいた七罪が声をかけてくる。一瞬、「可愛い女の子」の部分で令音以外の目に猛禽のごとき眼光が灯るのを感じたが、士道が否定するとその気配も消えた。
ちなみに今の七罪は大人バージョンの七罪だ。
理由は七罪のメンタル面の弱さにある。 七罪は絶望的なほどの超ネガティヴなのだ。
通常の彼女は、少しでも嫌な事を考えたり想像しただけで簡単に霊力の逆流が起こってしまうため、変身能力が使用可能になってしまうのだ。 その状態でテンパって自身が変身、もしくは他人を変身などさせてしまっては大変面倒なことになってしまう。
しかし自身の能力を使って「理想の姿」というべき大人の姿になると、不安定な精神は落ち着かせることができるのだ。……テンションがハイになるのと、いらんちょっかいを出すようになるが、能力の暴走よりかはよっぽど良心的だろう。多分。
こうして見学会中は大人モードで行動できるようにしたのだ。 何せ今から行くところは学園都市である。精霊だとバレれば、どうなるか分からない。学園都市にはDEM社の支社もあると言うし、面倒なことになるのは確実だろう。
「もしかして……あれじゃないかなと」
「主語がはっきりしてないわよオタンコナス」
……酷い言いようだが、これで司令官モードの琴里は正常運転なのだから仕方ない。
琴里は頭につけたリボンの色で、自身の思考のスイッチを入れ替えるという。始めて見た時はその二重人格のような変わりように、大変ショックを受けたものだ。もう大分慣れたが。
「あれのことだよ」
琴里の暴言を受け流しながら士道はある場所を指差す。士道の指の方向に目を見やる一同。
そこには通常の物とは違う流線型の形をした、天井が開けた銀色のバスが止められていた。 表面はもはや鏡で、ここが日陰でなければ陽光を反射して、目も向けられなかったのではないかというほどだ。
「おおお!なんだ!?このバスは!ものすごくかっこいいぞ!!」
目を輝かせる十香。バスに興味津々のようで即座に近づいて行く。
「え〜と……何だっけこのバス。テレビ番組とかで見たことあるんだけど……」
「確か……オープントップバスだったかな」
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