第一話「交差する世界」
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おくわ。依頼内容は並河薬品会社の学園都市支部の内部調査──」
「内部調査?」
並河製薬会社と言えばキンジも聞いたことがある。ここ数年で急成長している製薬会社で、数ある東京武偵校のスポンサーの内の一つ。更にその代表取締役は武偵連盟の理事会員をしているという。
「元々、あの会社は数年前まで中小企業で事業規模もたいしたこと無かったんだけどね、かといって歴史が浅いってわけじゃなくて発足は戦後だったらしいよ」
「…確かにあの会社を聞くようになったのもここ数年だしな。けど、それがどうしたんだ?」
「……」
並河製薬会社についてそこまで詳しいことはキンジもレキも知っているわけでは無いが、別に長年続いている企業がここ数年で急成長することなど、珍しくもなんとも無い。会社など経営者が変われば当然良くもなるし、悪くもなる。
しかしここでの問題は、その急成長への道筋が法に従った方法か、法に背いた方法か。ということであった。
「うん。でも並河製薬会社の中で会社が急成長した理由についてある噂が流れているんだって」
「噂?」
「……?」
「──生物兵器よ」
「………!」
「……まさか」
アリアが発した物騒な言葉に思わず絶句する2人。
にわかには信じがたい話である。
「依頼主も最初はただの噂だと思ってたらしいわ──けど、火の無い所に煙は立たないって言うし、調べてみたらしいわ。そしたら──」
「ここ数年、社長と一部の上層部、そして学園都市支部が極秘のプロジェクトを行っていることが判ったんだって〜」
「並河製薬会社は一つ一つの部署が独立した形で、特に研究・開発部は社長自ら指揮をとっているんだって。今回の依頼主は営業部の専務だから開発についてはあまり知らないらしいの」
「専務すら知らないプロジェクトか……けど極秘プロジェクトがあるってだけじゃ生物兵器を作っているって理由にはほど遠いぞ」
「そこで問題になるのが支部があるのが学園都市ってことなのよ」
学園都市。その都市の名前はキンジでも知っている。様々な教育機関が集まった科学の街である。確か東京武偵校の最大スポンサーだったはずだ。
「学園都市。東京西部の多摩地域に位置し、東京都のほか神奈川県・埼玉県・山梨県に面する完全な円形の都市。総面積は東京都の3分の1を占める広さを持つ。総人口は約230万人で、その8割は学生というまさに学生の街よ。外部でも、超能力開発の先端都市として有名ね」
手元にある資料を読みあげるアリア。そう。確かにあの街には多くの能力者がいることで有名な都市だ。
が、キンジは学園都市に行きたいとは思わない。
……行ってヒステリアスモードのことがバレたら、すみからすみまで調べられそうだからな…。
ヒステリアスモー
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