意味と狂人の伝説――収相におけるナエーズ――
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でしょう?」
「理解できんな。あんた、まだまだ楽しい事がたくさんある歳だろうよ。残って何になる?」
「帰って何になるというのです」
人生の楽しみ。とりわけ若い娘としての楽しみ。そのようなものを得るには、ラプサーラは疲れすぎていた。そして老いていた。他の十代の娘達に比べて、誰より。
「意味などございません。どちらを選んでも」
「意味がないなら尚更だ。何でまたナエーズに残る?」
「あなたはどうなんです、軍人さん。この戦争に意味があるとでも?」
「意味もなく戦えるような奴は狂人だ」
下士官は少し迷った。
「俺達はナエーズの安定のため――」
「そういう事ではございません。そんな事を聞いているんじゃない。もっと根源の――もっと本質的な――」
ラプサーラは、自分の言おうとしている事が、あまりにも要領を得ていない事に気付き、口を閉ざした。下士官は肩を竦めた。
二人は共に廊下に出た。
「あんたがナエーズに残る理由は師団長も聞くだろう」
下士官はある大きな扉の前で立ち止まり、囁いた。
「はっきりした答えを言うように。師団長は恐ろしい人だ」
扉が開かれた。ラプサーラの顔に、白い光が差した。
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